中層建物のカーテンウォールをユニット化、工期を3分の1に短縮:製品動向
YKK APは、ユニット工法を中層建築物に展開したカーテンウォール「SYSTEMA 81u」を4月30日から全国で発売する。従来の足場を設置して組み上げる工法と比較して、工期を約3分の1に短縮する。
YKK APは2024年2月1日、ユニット工法を規格品化した中層建築物向けのカーテンウォール「SYSTEMA 81u(システマ ハチイチユー)」を全国で発売すると発表した。超高層建築物向けのユニット工法を中層建築物にも展開することで、建設現場の省人化や工期短縮、安全性向上などに貢献する。発売予定日は2024年4月30日。初年度の受注目標は10億円(物件全体)。
カーテンウォールの工期を約3分の1に短縮
ユニット工法は主に足場が設置できない高層/超高層建築物で採用されており、中層建築物では一般的に、足場を設置して部材を組み上げる「ノックダウン工法」により施工する。SYSTEMA 81uでは、従来建設現場で行っていた部材の加工や組み立てに加え、ガラス施工まで工場で行う。現場へ搬入した完成品ユニットは、クレーンで吊(つ)り上げて設置する。外部足場やガラス施工が不要なため、ノックダウン工法と比較して、カーテンウォールの工期を約3分の1に短縮可能だという。
SYSTEMA 81uの耐風圧性は最大3000パスカル(高さ60メートル相当)、水密性は最大1500パスカル、気密性能は最も高いA-4等級を確保し、防火設備(遮炎性能20分)にも対応する。最大サイズはFIX窓ユニットで幅1800×高さ4200ミリ。開口部は複層ガラスで、腰部は単板ガラスを使用する。参考価格は、幅1200ミリ×高さ4200ミリのFIX窓ユニットで50万3000円(ガラス込み、サッシ色がアルマイト複合被膜標準色の場合)。
用途の異なる窓が混在しても、外観意匠を統一
中層建築物では、防火窓と非防火窓が混在したり、換気窓や非常用進入口などの可動窓を設置したりするケースもある。用途の異なる窓が同一面に設置される場合でも、縦部材の見付を65ミリ、横部材の見付を70ミリにそろえているため、外観意匠を統一できる。
また、換気窓は高さ2700ミリのフルハイトにも対応した大開口での設置が可能で、開口幅は約100ミリに制限することで安全性にも配慮した。非常用進入口は、外部ハンドルの見付を極力抑えたスリムな形状とした。
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