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再生建築で「COERU 渋谷道玄坂」と「COERU 渋谷イースト」を改修、東急不動産リノベ

東急不動産の「COERU 渋谷道玄坂」が竣工し、「COERU 渋谷イースト」も2024年10月に完成する予定だ。ともに再生建築研究所が設計し、再生建築の手法を用いた第1弾、第2弾の施設として、既存建物を解体することなく、建物を適正化する過程で環境性能の向上や執務環境の改善など、時代に即した機能を更新した。

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 東急不動産は2024年10月3日、「COERU 渋谷道玄坂」が同年6月に竣工し、「COERU 渋谷イースト」も同年10月の完成を予定していると発表した。ともに再生建築研究所が設計を担当し、既存の建物の駆体を活用した「再生建築」の手法を採用している。

廃棄物を削減しながら既存ビルを生かしたバリューアップ

 日本で建物の平均寿命は約30年で、欧米諸国での約100年と比較して著しく短いと言われている。しかし、日本における築30年以上の建物の中には、建築時の基準に沿っているが現在の耐震基準を満たしていない建物や時代のニーズに適合していないものの建物の躯体は良好であることも多くある。再生建築は、そうした躯体状態が良好な建物で、既存の躯体を生かしながら、新たに自由度の高いデザインや設計を加え、建物に改めて命を吹き込み、不動産価値を最大化させられる建築手法。

 COERU 渋谷道玄坂は、もともと地下10階/地下1階の1985年築の建物。延べ床面積は954.01平方メートルで、以前は「カプセルホテル渋谷ビル」として運用されていた。

(左)COERU 渋谷道玄坂の工事前外観、(右)工事後外観イメージ
(左)COERU 渋谷道玄坂の工事前外観、(右)工事後外観イメージ 出典:東急不動産プレスリリース

 今回、オフィスフロアは、これまでカプセルホテルとして使われていたため、閉鎖的な空間となっていたが、新たな開口部分を設けてサッシを新設し、採光性や開放性を向上した。また、内装デザインを改め、照明や空調設備を更新。地下1階の直通階段部分も適正化し、利用者が避難しやすい構造となっている。3階の既存サウナ設備も活用し、ヒトカラメディアのプロデュースで1〜3階にサウナを中心とした新施設「渋谷文化進化」を整備した。

(左)工事前のオフィスフロア、(右)工事後のオフィスフロア
(左)工事前のオフィスフロア、(右)工事後のオフィスフロア 出典:東急不動産プレスリリース
工事前/既存建物解体の概要と工事後
工事前/既存建物解体の概要と工事後 出典:東急不動産プレスリリース

 一方のCOERU 渋谷イーストは1972年築の建物で、地上6階建て。延べ床面積は697.30平方メートル。2017年にリニューアルしているが、竣工当時の間取りのままでスタートアップ企業が複数入居していた。

(左)COERU 渋谷イーストの工事前外観、(右)工事後外観イメージ
(左)COERU 渋谷イーストの工事前外観、(右)工事後外観イメージ 出典:東急不動産プレスリリース

 COERU 渋谷イーストが位置するエリアは、都市計画や用途地域の変更により容積率が緩和されている。そのため、建物の前面側に増築し、消化していなかった容積率を有効活用した。

(左)COERU 渋谷イーストの工事前、(右)工事後(吹き抜け空間)
(左)COERU 渋谷イーストの工事前、(右)工事後(吹き抜け空間) 出典:東急不動産プレスリリース

 下階を増築した一方で、上階を減築し、吹き抜けのある開放的な区画や入居者向けのルーフテラスを設けた。加えて、従来の外壁やバルコニーを除去して増築し、ガラスファサードに変更。開口面積が拡大し、内部空間の採光性が向上している。

 さらに、旧耐震建築物だった従来の建物に耐震補強を施した。柱巻の耐震性を補強し、現行の耐震基準と同レベルの耐震性能を確保している。

 再生建築を用いることで、新築建て替えに比べて環境負荷を軽減できる。同発表によると、COERU 渋谷道玄坂では新築建て替えと比べて89%のCO2排出量、95%の廃材量を、COERU 渋谷イーストでは66%のCO2排出量、89%の廃材量をそれぞれ削減できたという。

(左)COERU 渋谷イーストの工事前/既存建物解体の概要、(右)工事後
(左)COERU 渋谷イーストの工事前/既存建物解体の概要、(右)工事後 出典:東急不動産プレスリリース

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