トンネル周辺地山を多面的に評価、薬液注入データを3D可視化/分析する「GroutViz」を西松建設が開発:山岳トンネル工事
西松建設は、ジオマシンエンジニアリング、カテックスと共同で、山岳トンネル工事での薬液注入データの3D可視化や、可視化した3Dをもとに地山性状の定量評価を可能とするシステム「GroutViz」を開発した。新システムを施工中のトンネルへ適用した結果、注入データは実際の地質構造とおおむね同様の傾向を示し、地山評価に有用だと確認できた。
西松建設は2024年10月8日、ジオマシンエンジニアリング、カテックスと共同で、山岳トンネル工事での薬液注入データの3D可視化や、可視化した3Dをもとに地山性状の定量評価を可能とするシステム「GroutViz(グラウトビズ)」を開発したと発表した。
新システムを施工中のトンネルへ適用した結果、注入データは実際の地質構造とおおむね同様の傾向を示し、地山評価に有用だと確認できた。今後は複数の山岳トンネル現場で適用し、システムの改良を進める。
山岳トンネル工事では切羽の安定性を向上させるため、不良地山に対してボルト/鋼管などを打設する際、急結性の薬液の圧力注入を行う補助工法を実施する場合がある。
GroutVizでは、注入装置で記録した注入率や注入圧、注入量などのデータを専用の解析ソフトで読み込み、注入データの3D可視化や、逆距離加重法などの空間データ補間機能を用いた分布傾向を分析できる。
複数回の注入データをまとめて3Dで可視化することで、注入状況の整理やその後の実施計画に活用可能だ。また、注入データの分析結果を使用してトンネル周辺の地山性状も把握できる。例えば注入率が高いエリアでは当初の想定以上に亀裂が発達していると推定でき、肌落ちの注意喚起や支保パターンの見直しなどにつながる。
これまで適用を進めてきた「DRISS-3D」などの削孔検層技術と併用することで、より詳細な地山評価が可能になる。削孔データを用いて地山の硬さという観点で評価を行う削孔検層と併せて新システムを運用することで、地山性状を多面的に把握できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産業動向:西松建設がユニフォームを全面リニューアル、タブレットPCが入るバックポケット採用
西松建設は2024年11月、作業所で着用するユニフォームを9年ぶりにリニューアルする。 - BCP:地震時の計測データから建物の挙動を自動推定、リスク評価の精度向上へ 西松建設が開発
西松建設は、地震時の計測データから建物の挙動再現解析モデルを自動推定する新たな構造ヘルスモニタリングシステムを開発し、東京都港区の自社事務所ビルで運用を開始した。 - 製品動向:トンネル仮設備配置計画の最適化にジェネレーティブデザインを活用、西松建設
西松建設とONESTRUCTIONは、トンネル工事現場の仮設備配置計画にジェネレーティブデザインを取り入れ、効果を検証した。 - 製品動向:安全講習への参加でポイントがもらえる? リバスタの建設技能者向けサービス、鹿島建設などで導入へ
リバスタは、建設技能者向けのポイントサービス「ビルダーズポイント」の提供を開始した。元請会社の判断で建設技能者にポイントを付与できるサービスで、建設技能者は安全講習会への参加やCCUSカードのタッチなど、元請会社の設定する条件を満たすことでアプリを通じてポイントを受け取れる。受け取ったポイントは個人のPayPayアプリ上で利用可能だ。 - 山岳トンネル工事:吹付けコンクリートの供試体採取を効率化する「NFJコアビット」を西松建設が開発
西松建設は、フジモリ産業と共同で、ジャンボドリルに取り付けることで吹付けコンクリートの供試体を直接採取できる「NFJコアビット」を開発した。工程短縮を実現し、トンネル現場における品質管理業務の生産性を向上させる。 - AI:生成AIとIoTで建設現場の“unknown”を無くす!西松建設の工事で4割時短したMODEの頼れるAI部下
MODEは、生成AIとIoTのチカラで、建設業界を筆頭に多様な産業の課題解決を目指すスタートアップ企業。IoTのチカラとしては、IoTデータを集約して可視化するプラットフォーム「BizStack」が、前田建設工業など複数のゼネコンで活用されている。今回、生成AIを現場を最もよく知る作業員の部下やアシスタントと位置付けた機能を追加した。先行導入した山岳トンネル工事では、40%の時間削減などの効果が得られているという。