吹付けコンクリートの供試体採取を効率化する「NFJコアビット」を西松建設が開発:山岳トンネル工事
西松建設は、フジモリ産業と共同で、ジャンボドリルに取り付けることで吹付けコンクリートの供試体を直接採取できる「NFJコアビット」を開発した。工程短縮を実現し、トンネル現場における品質管理業務の生産性を向上させる。
西松建設は2024年5月21日、フジモリ産業と共同で、ドリルジャンボに取り付けて吹付けコンクリートの供試体採取を効率化する「NFJコアビット」を開発したと発表した。既に現場に導入し、工程短縮による省力化やコスト削減などを確認している。
ドリルジャンボへのビット取り付け作業だけで採取可能に
山岳トンネルの施工に用いられる吹付けコンクリートは、コアドリルで供試体を採取して品質確認を行う。西松建設ではこれまで、供試体を採取するには、専用型枠の組み立てやコアドリルの設置など複数の工程が必要だった。
NFJコアビットは、山岳トンネル工事で使用されるさまざまなメーカーのドリルジャンボに取り付けられる汎用タイプで、トンネル壁面に施工した吹付けコンクリートのあらゆる箇所から供試体を直接採取し、施工品質を確認できる。供試体を採取する工程も短縮するため、省力化が実現し、コアドリルを使用しないため、巻き込まれ災害や感電が無くなり、機器の手配にかかるコストも削減できる。
実現場に導入し、約60分の工程短縮を実現 施工品質も確認
西松建設は既に、NFJコアビットの現場への導入を開始している。材齢が1日以上経過したコンクリートに対して、新技術を使用して供試体の採取を50カ所で試みたところ、全ての箇所で供試体を採取できた。
また、これまで3本の供試体を採取するのに約70分程度の時間がかかっていたが、新技術の活用により約10分に短縮した。さらに、取り出した任意の20本について、従来の手法で採取した供試体と同程度の強度が得られたことを確認した。
今後は、供試体を採取する際に、削岩機の油圧や削孔速度から吹付けコンクリートの強度を推定できるシステムの開発など、施工技術の高度化を進めていく。
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