東洋建設が統合検索基盤「TOYO ChatGPT RAG適用版」を導入:AI
東洋建設は、クローズドな環境で安全に利用できる統合検索プラットフォーム「TOYO ChatGPT RAG適用版」を導入した。PCや全職員に配布している業務用iPhone端末などから利用できる。
東洋建設は2024年9月27日、UNAIITと協働で開発した、クローズドな環境で安全に利用できる統合検索プラットフォーム「TOYO ChatGPT RAG適用版」を導入したと発表した。PCや全職員に配布している業務用iPhone端末などからいつでもアクセスできる。
今回は標準版ChatGPTに加え、土木や建築、管理別の社内外のデータなどが参照できるRAG適用版を開発した。RAGとは、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に独自の情報源を参照させ、回答精度を向上させる技術だ。
また、各拠点の社内ファイルを横断的にキーワード検索することが可能な「AI社内ファイル検索」や安全専用GPT搭載の「K-SAFE 東洋 RAG適用Version」を組み込み、一体型とすることで機能の向上を図った。
TOYO ChatGPT標準版では、クローズドな環境で利用できるAzure OpenAI Serviceを選定し、GPTのスタイルや、GPT-4oをはじめとするGPTモデルを自由に選択できる。プロンプトアシスト機能によるテンプレートや過去履歴の利用の他、コピペや新規チャットへの切り替えボタン、ファイルドロップなども充実させた。今後はGPTモデルや検索エンジンの入れ替えなど、職員のリクエストを反映した全体最適なサービスに随時アップグレードする。
RAG適用版には、生成AIが社内外のドキュメントなどを参照できるように、クラウドサービス内のデータベースと専用GPTをAPI連携させた「土木」「建築」「管理」別の専用GPTを搭載。各部門別のRAG用のプロンプトテンプレートを用意し、どのようなドキュメントが登録されているかを明示した。専用GPTでは、社内外の参照元ドキュメントの該当ページがダイレクトに表示できるため、出典根拠を確認しながら使える。
AI社内ファイル検索システムでは、施工情報共有システム内の全国の工事データやクラウドサーバ内に格納されているファイルから必要なデータ検索が可能となり、効率化やナレッジの組織知化にも寄与する。画像プレビューが可能で、視覚的に内容を認知しやすくした。安全専用GPT「K-SAFE 東洋RAG適用Version」も搭載している。
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