東洋建設が労働災害防止にAI活用、社内独自データを活用:安全衛生
東洋建設は、自社独自の労働災害事例を検索できるシステム「K-SAFE東洋 RAG適用Version」を導入した。東洋建設独自の「東洋建設災害防止基準」や安全のポイントを掲載した「安全ルールの見える化」「成功/失敗事例」などの独自データが検索可能になった。
東洋建設は2024年9月3日、UNAIITが開発した危険予知ツール「K-SAFETM」を機能拡張した労働災害事例検索システム「K-SAFE東洋 RAG適用Version」を導入したと発表した。
東洋建設の全職員に配布している業務用iPhone proからアクセス可能。現場の調整会議や朝礼、パトロール時に利用し、職務上必ず指導が必要な安全事項をリマインドして災害の未然防止につなげる。若年層のスキルアップや職員の負担軽減にも役立てていく。
K-SAFE東洋 RAG適用Versionは、厚生労働省や日本建設業連合会の労働災害データの他、国土交通省の建設工事事故データベースに加え、東洋建設の社内災害事例を格納し、さまざまな災害事例を幅広く参照できる。AIが社内の安全に関するデータを参照し、質問に合わせた回答を生成する機能により、東洋建設独自の「東洋建設災害防止基準」や安全のポイントを掲載した「安全ルールの見える化」「成功/失敗事例」などの独自データが検索可能になった。
ユーザーがOpenAIのChatGPT-4oを搭載した「災害事例ChatGPT」に質問すると、厚生労働省災害事例をベースに、イラスト付きで回答が得られる。
さらに、社内基準を検索できる「東洋安全ChatGPT」にはRAG(検索拡張生成)を適用。東洋建設災害防止基準などの安全データをChatGPTが参照し、イラスト付きで社内基準に基づいた回答を生成する。さらに回答の元になった社内資料などの参照元も合わせて表示する。
過去の社内災害事例を「発生状況図一覧」として画像で確認できるため、調整会議などでの職長との打ち合わせや、朝礼時の説明で視覚的かつ容易に確認でき、齟齬のない情報共有や理解度の向上に役立てられる。
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