移動式クレーンの遠隔操作システム開発、2025年の本格運用目指す 竹中工務店など3社:遠隔操作
竹中工務店とタダノ、アルモは3社共同で、移動式クレーンの遠隔操作システム「CRANET」を開発した。2025年度中の本格的な運用開始を目指す。
竹中工務店は2024年9月19日、建設用クレーンメーカーのタダノ、香川県を拠点とする建設会社のアルモと共同で、移動式クレーンの遠隔操作システム「CRANET(クラネット)」を開発したと発表した。2024年12月まで作業所での試験適用を行い、諸官庁と協議しながら、2025年度中の本格的な運用開始を目指す。
3社は、香川県高松市に設置した専用コックピットから、約70キロ離れた徳島県徳島市の建設現場に設置した移動式クレーンの遠隔操作を実施。材料の移動や積み込み、積み下ろし作業などが支障なく行えることを確認した。
CRANETは、事業所のオフィスに設置したコックピットから、遠方の建設現場にある移動式クレーンを操作するシステム。オペレーターは現地に出向くことなく作業を行えるため、移動時間の短縮に加え、狭い運転席での作業による身体的負担を軽減できる。
コックピットは移動式クレーンの運転席を忠実に再現し、実機と遜色のない作業環境を実現した。クレーンの運転席周辺に設置した複数のカメラ映像を専用モニターにリアルタイム表示し、揚重物を目視で確認しながら操作できる。モニターには動作信号と異常信号を常に表示する。
事業所内に複数のコックピットを設置すれば、熟練オペレーターが1人で、複数の若手オペレーターに対する指導教育が可能となる。建設技術の次世代への伝承や、建設業界の魅力向上にも寄与する。
作業内容に応じて建設現場内を移動するクレーンに対応するため、CRANETの通信システムは光ファイバーなどの有線回線を使用しない完全無線システムを採用。クレーン操作に支障がない高速で安定した通信環境を確保できることを確認した。データ通信規格は、最新の移動式クレーンの情報信号に用いられるCAN(Controller Area Network)に対応している。
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