清水建設、タワークレーン遠隔操作システムを現場展開へ IHI運搬機械対応版を開発:産業動向
清水建設は、鹿島建設や竹中工務店などが開発したタワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo(タワリモ)」を、自社現場で展開する。導入に当たって、これまでTawaRemoでの適用実績がなかったIHI運搬機械製クレーンによる現場実証試験を行い、機上運転室からの操作と同等の生産性が得られることを確認した。
清水建設は2024年1月22日、鹿島建設や竹中工務店などが開発したタワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo(タワリモ)」を、自社現場で展開すると発表した。導入に当たって、これまでTawaRemoでの適用実績がなかったIHI運搬機械製タワークレーンによる現場実証試験を行い、機上運転室からの操作と同等の生産性が得られることを確認した。
IHI機対応版を開発 江東区の再開発現場で実証
TawaRemoは、クレーンに設置したカメラの映像や計器の情報を基に、タワークレーンのオペレーターが遠隔地からクレーンを操作するシステムだ。鹿島建設、竹中工務店、アクティオ、カナモトの4社が共同開発した。これまで鹿島建設と竹中工務店の建築現場8件で適用実績がある。
過去8件の現場で使用したタワークレーンは、北川鉄工所、小川製作所の2社の製品で、IHI運搬機械の製品は適用実績がなかった。清水建設はTawaRemoの自社現場への展開に当たって、鹿島建設、竹中工務店、アクティオと共同で、新たにIHI機対応版を開発。東京都江東区の豊海地区再開発建設工事で現場実証試験を行い、吊荷重量100〜200キロのサポートユニットの配置揚重(搬送距離30〜50メートル)を、作業所内の遠隔操作室と機上の操作室から同一条件で実施したところ、所要時間がほぼ同等であることを確認した。
クレーンオペレーターの作業環境改善と技術伝承を支援
施工ロボットやIoT分野での共同技術開発/相互利用を推進する民間団体「建設RXコンソーシアム」は、タワークレーン遠隔操作分科会で、オペレーターの作業環境改善に向けた遠隔操作システムの社会実装を目指している。TawaRemoも、その分科会の活動の一環で実用化された。
タワークレーンのオペレーターは作業時、クレーン頂部に設置された運転席まで最大約50メートルをはしごで昇降し、作業開始から終了まで高所の運転席に1日拘束される。TawaRemoの適用により地上にコックピットを配置すれば、作業事務所や遠隔地のコントロールセンターなどでクレーンの操作を行える。また、1か所に複数のコックピットを配置できるため、複数の若手オペレーターに対して、熟練オペレーターが1人で指導教育を行えるなど、技術伝承や若手の技量向上も支援する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AI:クレーンワイヤの外観目視点検を自動化、AIで良否判定 熊谷組とパシフィックシステムが開発
熊谷組とパシフィックシステムは、クレーンワイヤの外観目視点検をAIで自動化するシステムを開発した。ワイヤ表面の傷やほつれなどを高い精度で連続的に検査し、不良部分を特定することで、クレーン楊重作業時の安全性が向上する。 - 建機自動化:約400km離れた場所から除雪車をリモート操作、NTT Com
NTTコミュニケーションズとARAVは、宮城県のコックピットから千葉県に設置した除雪車をリモート操作する実証実験を実施した。モバイル回線に最適化した映像伝送技術や、インターネットを経由しない通信処理技術を用いている。 - LED:服の色に合わせて光の演出が変わるフォトスポット、ハマスタに登場 パナソニック
パナソニック エレクトリックワークス社の「街演出クラウドYOI-en」が、2023年12月9〜17日にかけて横浜スタジアムで開催されるイルミネーションイベントで採用された。開催期間中の17〜21時に体験できる。 - スマートコンストラクション:西松建設が山岳トンネル工事の無人化実現に向けた研究開発拠点を開設
西松建設は山岳トンネル技術の研究開発拠点「N-フィールド」(栃木県那須塩原市)の運用を開始した。2027年度の実用化を目指している、重機の遠隔操作/自動化技術を組み合わせた施工システム「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」関連技術の開発を加速する。 - ロボット:ロボット掃除機「Roborock」に、コンパクト型全自動ドック搭載の新モデル 価格は16万3900円
Beijing Roborock TechnologyとSB C&Sは、家庭用ロボット掃除機の新製品「Roborock Q Revo(ロボロック キュー レボ)」を発表した。コンパクトタイプの「4way全自動ドック」で水拭きモップの洗浄と乾燥、給水、ごみ収集を行える。2023年12月8日から全国のヤマダデンキなどで販売する。 - ドローン:ブラウザからドローン「Skydio X10」を遠隔操作する専用ソフト、2024年度上期に提供開始
Skydioは、エンタープライズ向けドローン「Skydio X10」の遠隔飛行用ソフトウェア「Skydio Remote Flight Deck」を発表した。