神宮外苑再開発で“伐採樹木”124本減らす 三井不がラグビー場と絵画館の設計見直し:プロジェクト(2/2 ページ)
三井不動産は神宮外苑の再開発で、樹木保全のために計画を見直し、伐採する樹木を当初の743本から124本減らした。ラグビー場と聖徳記念絵画館の設計を修正し、植樹も261本増やしたことで、神宮外苑の3メートル以上の樹木は当初計画の合計1998本から、再開発後には400本増えて2304本になる。
いちょう並木保護で新野球場棟のセットバック幅を18.3mに
伐採樹木619本のうち、風致地区内474本の伐採理由は既存施設に近接が270本、樹勢などが弱っているが164本、重点対策外来種が28本、土壌汚染が2本、当初計画のまま伐採予定にあたるその他が10本。
新しく植える樹木も当初予定の837本から261本増やし、1098本とした。敷地全体で3メートル以上の樹木本数は、再開発前の1904本から再開発後は2304本と400本増えることになる。400本は、伐採本数減少の124本と今回増やした新植本数の261本、計画にもともとあった植樹する94本の合計から、枯損などで伐採する79本を差し引いた数。
新植本数261本の緑化計画では、新ラグビー場は新植本数を当初計画の81本から131本増やし、212本とする。具体的には敷地東側で、神宮外苑地区を南北に貫くみどりの散策路との連続性に配慮し、絵画館前広場の既存樹木と対をなす植栽とする。南側は、滞留空間や歩行空間、ボリュームのある中低木植栽、明るい林床などメリハリのある足元空間を新たに整備する。
聖徳記念絵画館前は、創建当時の広場を継承し、さまざまな樹種や樹高の樹木を自然配植する考え方のもとで新植樹木の配置を再検討し、新植本数を398本から130本増加させて528本に増やした。
いちょう並木の保護では、2023年1月と2024年1月のいちょう並木の西側一列を対象とした根系調査で、歩道縁石から西側へ約17メートルを超えた位置では直径30ミリ以上の根が確認されなかったため、約17メートルまでを根の保護範囲とした。また、プラス約1.3メートルを工事中の施工スペースや根系伸長域として確保し、新野球場棟のセットバック幅を当初の約8メートルから約18.3メートルに拡大する方針に修正した。いちょうの根系保護範囲は当初計画の2倍以上となるだけでなく、いちょう並木沿いの歩行者空間やオープンスペースも増大する。
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