環境配慮型コンクリを使用した人工石材「さすたまぶる」開発、三井住友建設:施工
三井住友建設は、セメント不使用の環境配慮型コンクリート「サスティンクリート」を用いた人工石材「さすたまぶる」を開発した。多彩な色や模様を表現可能で、型に流して固めることで複雑な形状にも対応する。自社R&Dセンターにさすたまぶるの床材を試験施工し、歩行時の安全性を確認した。
三井住友建設は2024年9月2日、セメント不使用(ゼロセメントタイプ)の環境配慮型コンクリート「サスティンクリート」を用いた人工石材「さすたまぶる」を開発したと発表した。多彩な色や模様を表現可能で、天然石材では難しい形状も実現できる。
三井住友建設では、千葉県流山市の自社R&Dセンターの屋外に、さすたまぶるの床材を試験施工。床材に求められる防滑性能に関する試験を行い、歩行時の安全性を確認した。
サスティンクリートは、高炉スラグ微粉末やフライアッシュ、シリカフュームなどの産業副産物を特性に合わせて最適に配合することで、構造物の要求性能を満たしながら、CO2排出量が多いセメントの使用量を低減。材料に由来するCO2排出量を40〜90%削減する。さすたまぶるには、最大約90%のCO2排出量を削減可能なゼロセメントタイプを使用している。
サスティンクリートは通常のコンクリートより白色に近いため、顔料による発色が良好で、さすたまぶるでは鮮やかな色彩も表現できる。暗い場所や夜間に発光する蓄光材を加えれば、光る人工石材として停電時の避難誘導灯やインテリア用途で使える。
また、サスティンクリートは流動性が高く、固まると御影石などの天然石材と同程度の強度になる。天然石材と同様の加工が可能で、型に流して固めれば複雑な形状にも対応できるため、意匠性の高い造形物への適用も可能だ。
今後は天然石材の代替用途や建材としての利用に加え、幅広い用途への適用を検討していく。
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