三井住友建設がループ鉄筋と補強鉄筋が不要なPCa床版の接合工法を開発:新工法
三井住友建設は、鋼繊維を混入した超高強度のサスティンクリート「超高強度繊維補強サスティンクリート」により、従来工法で必要だったループ鉄筋と補強鉄筋を不要にするプレキャスト(PCa)床版の接合工法「サスティンジョイント」を開発した。今後、老朽化した高速道路橋などの床版取替工事で、サスティンジョイントの本番適用を目指し展開していく。
三井住友建設は、独自開発した高性能コンクリート「サスティンクリート」を使用したプレキャスト(PCa)床版の接合工法「サスティンジョイント」を開発したことを2020年11月20日に発表した。
サスティンジョイントは、鋼繊維を混入した超高強度のサスティンクリート「超高強度繊維補強サスティンクリート」により、従来工法で必要だったループ鉄筋と補強鉄筋(直角方向)を不要にするもので、現場での配筋作業を省力化する。さらに、接合部の幅を4割ほど狭めることができ、コンクリートの打設量を減らせる。
接合部に用いる超高強度繊維補強サスティンクリートは、これまでの超高強度コンクリートと比較して、乾燥収縮と自己収縮が少なく、硬化時の発熱(水和熱)も小さいので、ひび割れ発生のリスクが低い。構造的に弱点となり得る接合部に超高強度繊維補強サスティンクリートを適用することで耐久力のアップも実現する。
また、構成材料の約4割に産業副産物を用いているので、製造時のCO2排出量が超高強度コンクリートと比較して約6割に抑えられ環境に優しい。
三井住友建設では、サスティンジョイントの性能を確かめるために、床版試験体の曲げ試験と輪荷重疲労走行試験を行い、100年相当の疲労耐久性を備えていることを確認した。
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