長さ3mのCLTで屋外暴露試験、中大規模建築での活用目指す 大林組と三菱地所:製品動向
三菱地所と大林組は、CLTの屋外適用に向けて、グループ会社に長さ3メートルの大型試験体合計23本を設置し、屋外暴露試験に着手した。中大規模建築での国産木材活用を推進していく。
三菱地所と大林組は2024年8月29日、CLT(直交集成板)の屋外利用技術を確立するため、長さ3メートルの大型試験体を使用した屋外暴露試験に着手したと発表した。両社は発注者、設計・施工者としての知見とニーズを持ち寄り、中大規模建築での国産木材利用推進を図る。
今回の検証では、CLTの製造/加工を手掛ける三菱地所グループのMEC Industry敷地内と、大林組グループのサイプレス・スナダヤの本社工場敷地内に、3メートル(縦)×0.9メートル(横)×150メートル(奥行き)の試験体合計23本を設置。2024年6月17日から検証を開始した。
設置した試験体は適宜メンテナンスしながら経年変化を定期的にモニタリング。屋外活用に求められる品質に関して、各保護塗料の特性を把握する他、適切なメンテナンス方法や木材へ必要な加工などについて検証する。研究成果は、CLTや木材の屋外活用につなげる。
CLTや集成材などの技術開発に伴い、木材を建築の構造部に採用した木造建築や、内外装で木材を採用した木質建築の普及が進みつつある。一方で木材の屋外活用は、太陽光による紫外線や風雨への暴露、気温の変化など、屋内と比べて木材に与える外的要因が多いため、限定的な普及にとどまっている。
屋外活用に向けては、特殊機械を使用した促進耐候性試験や小型試験体による屋外暴露試験は行われているものの、中大規模建築への実利用を想定した加工や、長期間の暴露試験を実施している事例は少ない。両社は中大規模建築への国産木材活用の可能性を広げるため、今回の共同研究を開始した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 脱炭素:高速道路の法面補修で水素活用のGX建機を導入、大林組
大林組とコマツは、NEXCO西日本発注の大分自動車道の「法面補修工事」で、電動ミニショベルの充電用に可搬式の水素混焼発電機を設置し、建設現場の水素活用に関する実証実験を行った。 - 製品動向:低炭素コンクリを使用したセグメントを実工事に初適用、大林組
大林組は、中国電力ネットワーク発注のシールド工事で、実工事では初めて低炭素型セグメントを適用すると発表した。セグメント1リング当たりのCO2排出量を、通常の588キロから199キロまで、約7割削減できる。 - 産業動向:人工光と自然光を組み合わせ苗木を年1万本生産、大林組がパイロットランプ設置
大林組は、人工光と自然光の育成環境を組み合わせて苗木生産のコスト効率と生産性を高める「ハイブリッド型苗木生産システム」を開発した。鳥取県内に苗木を年間1万本供給できるパイロットプラントを設置し、周辺地域の林業事業者向けにカラマツの苗木生産を開始している。 - R&D:建設ロボティクス技術の研究開発拠点をシンガポールに開設、大林組
大林組は、アジア地域の研究開発拠点「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore」をシンガポールに開設した。建設会社やスタートアップ、大学などの研究機関と建設ロボティクス技術を中心とした共同研究/開発に取り組み、建設現場への適用を支援する。 - BUILTトレンドウォッチ(6):竹中工務店と大林組が導入した「PLM」は建設業でも活用できる?
野原グループが運営する「BuildApp News(ビルドアップ ニュース)」とBUILTがコラボした本連載「BUILTトレンドウォッチ」では、建設DXの実現に向けた基礎知識から、法令動向、最新技術など、旬なキーワードをピックアップして解説します。 - ZEB:中規模ビルのZEB達成可能性を容易に判断、大林組が新システム開発
大林組は、中規模ビルのZEB達成の可能性を、容易に判断できるシステムを開発した。