国産の住宅用木構造材を北海道で大規模生産へ、大林組子会社と中部電力が合弁会社設立:産業動向
大林組子会社のサイプレス・スナダヤと中部電力は、北海道釧路市に、住宅用木構造材の生産、販売を行う合弁会社を設立する。大規模な生産体制の構築により、品質や価格、流通量で輸入材に対抗し、住宅メーカー各社での国産材の活用拡大を図る。
大林組は2024年7月1日、子会社で製材/集成材の製造を手掛けるサイプレス・スナダヤが中部電力と共同で、北海道釧路市で住宅用木構造材の生産、販売事業を展開する合弁会社「釧路ウッドプロダクツ(仮称)」を設立すると発表した。新会社は2024年10月頃に設立する計画で、2027年4月をめどに、国内最大級の製材工場の稼働開始を目指す。
道内の森林資源を活用し輸入材に対抗、住宅用木構造材の国産化を推進
新会社の資本金は12億5000万円で、出資比率はサイプレス・スナダヤが80%、中部電力が20%。トドマツなどの北海道産原木を使用した住宅用木構造材を製造、販売する。主製品は、構造用集成材とディメンションランバー(2×4材)で、副製品として製紙用チップ、ホワイトペレット、おがくずを扱う。原木消費量は、操業1年目で約10万立法メートル、2年目は約20万立法メートル、3年目は約36万立法メートルを計画している。
製品流通量の確保とコスト縮減を目的に、製材工場には、欧州製チッパーキャンター製材機械などの大型機械に加え、木材人工乾燥装置や集成材製造ラインを導入する。大規模な生産体制の構築により、品質や価格、流通量で輸入材に対抗し、住宅メーカー各社での国産材の活用拡大を図る。
新会社を通じて、非住宅木造木質化建築事業を強化
大林グループは、木造/木質化建築におけるサプライチェーン全体を最適化する循環型ビジネスモデル「Circular Timber Construction」を掲げ、製材事業、植林や育林といった林業支援事業に取り組む方針を示している。今後は、新会社を通じて、CLTなどの非住宅用木構造材の製造を検討し、非住宅木造木質化建築事業を強化していく。
中部電力グループは、地域インフラ事業の1つとして森林事業に参画。CO2吸収や生物多様性をはじめとする森林の多面的機能向上による流域環境への貢献の他、林業木材産業の収益性向上や木材利用促進などに取り組んでいる。引き続き、道内の林業関係者と連携し、事業拡大を検討する。
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