ニュース
低炭素コンクリを使用したセグメントを実工事に初適用、大林組:製品動向
大林組は、中国電力ネットワーク発注のシールド工事で、実工事では初めて低炭素型セグメントを適用すると発表した。セグメント1リング当たりのCO2排出量を、通常の588キロから199キロまで、約7割削減できる。
大林組は2024年8月8日、岡山県岡山市で建設を進める中国電力ネットワーク発注のシールド工事の一部区間で、低炭素型セグメント「クリーンクリートセグメント」を適用すると発表した。これにより、セグメント1リング当たりのCO2排出量を、通常の588キロから199キロまで、約7割削減できると試算している。
クリーンクリートセグメントの適用は実工事では初めて。製造は、IHI建材工業静岡工場で行う。
セグメントはシールド工事で使用する覆工部材。材料として主にコンクリートを使用し、製造過程では1立方メートル当たり約300キロのCO2が発生する。クリーンクリートセグメントは、CO2排出量削減を目的に、セグメントの材料として低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」を使用し、セグメントの製造性、製造サイクル、性能などを検証した結果、適用可能であることを確認している。
なお、クリーンクリートは、大林組が2010年5月に開発した。セメントの一部を高炉スラグ微粉末などの産業副産物に置き換えることで、CO2排出量を最大8割削減できる。2024年3月時点での累計打設量は約42万立方メートルに達している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産業動向:人工光と自然光を組み合わせ苗木を年1万本生産、大林組がパイロットランプ設置
大林組は、人工光と自然光の育成環境を組み合わせて苗木生産のコスト効率と生産性を高める「ハイブリッド型苗木生産システム」を開発した。鳥取県内に苗木を年間1万本供給できるパイロットプラントを設置し、周辺地域の林業事業者向けにカラマツの苗木生産を開始している。 - R&D:建設ロボティクス技術の研究開発拠点をシンガポールに開設、大林組
大林組は、アジア地域の研究開発拠点「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore」をシンガポールに開設した。建設会社やスタートアップ、大学などの研究機関と建設ロボティクス技術を中心とした共同研究/開発に取り組み、建設現場への適用を支援する。 - BUILTトレンドウォッチ(6):竹中工務店と大林組が導入した「PLM」は建設業でも活用できる?
野原グループが運営する「BuildApp News(ビルドアップ ニュース)」とBUILTがコラボした本連載「BUILTトレンドウォッチ」では、建設DXの実現に向けた基礎知識から、法令動向、最新技術など、旬なキーワードをピックアップして解説します。 - ZEB:中規模ビルのZEB達成可能性を容易に判断、大林組が新システム開発
大林組は、中規模ビルのZEB達成の可能性を、容易に判断できるシステムを開発した。 - 産業動向:国産の住宅用木構造材を北海道で大規模生産へ、大林組子会社と中部電力が合弁会社設立
大林組子会社のサイプレス・スナダヤと中部電力は、北海道釧路市に、住宅用木構造材の生産、販売を行う合弁会社を設立する。大規模な生産体制の構築により、品質や価格、流通量で輸入材に対抗し、住宅メーカー各社での国産材の活用拡大を図る。 - 脱炭素:建物解体後の鉄骨やコンクリ構造部材を新築建物にリユース、大林組
大林組は、建物解体後の鉄骨やコンクリート製の構造部材を、新築建物の構造体に再利用する取り組みに着手した。新築建物の構造部材のうち、鉄骨57%、コンクリート33%でリユース材を使用し、構造部材製造に伴うCO2排出量を従来と比較して約49%削減する見込み。