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在来種5割以上の緑化で捕捉率/再生効果が大幅向上、大和ハウスが都市部で検証緑化

大和ハウス工業は、在来種を採用した都市部での緑化活動による生物多様性保全効果の定量評価を実施し、緑化しなかった場合と比べて約3倍の効果が確認できたと明らかにした。

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 大和ハウス工業は2024年8月19日、生物多様性のビッグデータ分析を行うシンク・ネイチャーと共同で、在来種を採用した都市部での緑化活動による生物多様性保全効果の定量評価を実施したと発表した。緑化しなかった場合と比べて、約3倍の生物多様性効果が確認できたと明らかにした。

 検証ではまず、緑化の減少が著しい首都圏(1都3県)で、在来種50%以上の緑化を実施した286物件(戸建住宅77件、集合住宅76件、マンション5件、商業/事業施設128件)を対象に、生態系の豊かさ、希少性、固有性などをもとに、生物多様性保全優先度(かけがえのなさ度)を1件ごとに検証した。実施期間は2022年4月から2024年3月まで。

 さらに、評価指標として捕捉率と再生効果を採用した。捕捉率は、物件周辺5キロ以内に生息する樹木/鳥類/チョウ類種のうち、植栽した樹種や、植栽した樹種を利用する種の割合。再生効果は、物件周辺1キロ内の樹木/鳥類/チョウ類種数と個体数の増減度合いを指す。286物件のうち代表的な30物件(戸建住宅8件、集合住宅8件、マンション2件、商業/事業施設12件)を対象に、在来種の植栽率が30%以下の物件と比較することで、緑化活動における在来種採用の重要性を評価した。

半数以上の立地地域が優先度全国上位20%以内の地域

 生物多様性保全優先度の評価では、大和ハウス工業が施工または開発した物件での緑化活動について、生物多様性保全に大きな効果が期待できることが分かった。シンク・ネイチャーが作成した生物多様性保全優先度を可視化/数値化した地図では、半数以上の立地地域は優先度が全国上位20%以内の地域と判明した。

生物多様性保全優先度地図
生物多様性保全優先度地図 出典:大和ハウス工業プレスリリース

 また、在来種植栽率と捕捉率、再生効果の評価では、在来種の植栽率が高いほど捕捉率と再生効果が高いことが確認できた。在来種の植栽率が50%以上の30物件では、在来種の植栽率が30%以下の5物件や在来種が植栽されていない5物件と比べて、捕捉率は1.1〜3倍、再生効果は3倍以上だった。

ALTALT 全体平均捕捉率(左)、全体平均再生効果(右) 出典:大和ハウス工業プレスリリース

 中でも、「ABINC認証(いきもの共生事業所認証)」を取得した東京都昭島市の在来種高物件「プレミスト昭島モリパークレジデンス」では、他の在来種低物件と比べて、3倍の捕捉率と23倍の再生効果が確認された。

 これらの結果を受けて、大和ハウス工業は、多様な在来種の選定とまとまった植栽が生物多様性の保全に大きく貢献することが確認できたとしている。今後は、検証結果をもとに、2030年までに地域の生態系に配慮した緑被地を200万平方メートル以上創出することを目指す他、自然関連財務情報開示タスクフォース (TNFD)において開示が推奨される自然保護機会の指標と目標にも活用し、最新の科学的知見を取り入れながら、生物多様性保全の取り組みを進めていく。

「プレミスト昭島モリパークレジデンス」の外観
「プレミスト昭島モリパークレジデンス」の外観 出典:大和ハウス工業プレスリリース
「みどりをつなごう!」イメージ図
「みどりをつなごう!」イメージ図 出典:大和ハウス工業プレスリリース

 大和ハウス工業は、ネーチャーポジティブ実現に向けて、グループ共通の緑化コンセプト「みどりをつなごう!」の下、在来種を50%以上採用する緑化活動を進めている。2022年4月から2024年3月までに、地域の生態系に配慮した緑被面積を46.4万平方メートル創出した。

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