デジタルツインバースで「石見銀山DX」、事業拠点を開設 他地域にも展開へ 大成建設:メタバース
大成建設は、島根県大田市で、次世代型メタバースのデジタルツインバースシステムを利用した「石見銀山DX化事業」を開始した。
大成建設は2024年8月5日、島根県大田市、石見銀山生活観光研究所と、次世代型メタバースのデジタルツインバースシステムを利用した「石見銀山DX化事業」を開始したと発表した。石見銀山生活観光研究所が運営するサテライトオフィス「石見銀山大森町 オフィス林家」に事業拠点を開設し、官民協働で、教育や観光、自治体業務などの複数の領域に対しAI活用を進めていく。
大成建設は今後、石見銀山DX化事業をモデルケースに、国内のさまざまな地方スケールに対応、展開させていくことで、活用方法について検証していく。
大成建設は2022年11月、石見銀山地区で、石見銀山群言堂グループと「石見銀山メタバースプロジェクト」を始動。現実空間とデジタルツインとをリアルタイムに相互連携できる次世代型メタバースのデジタルツインバースシステム「T-TwinVerse」を開発した。T-TwinVerseは、測量データと3D点群撮影を組み合わせて作成する高精度3D点群デジタルツインモデル技術や、3D点群モデルから半自動でBIMモデルを生成するAI技術、大規模言語モデル(LLM)を活用した街案内LLMなどの技術を組み合わせて構築したDXプラットフォームだ。
新たに開始した石見銀山DX化事業では、T-Twin Verseを使用して、大田市の重要伝統的建造物群保存地区の石見銀山地区を対象に地域の振興や情報発信を展開する。事業開発拠点として、2024年5月には古民家を改装した石見銀山大森町 オフィス林家を開設。事業には地元の小学校も参画を表明しており、今後は石見銀山の町並み1キロをデジタル保存し、教育現場や行政で活用する計画だ。なお、T-Twin Verseの取り組みは、2027年の石見銀山発見500年と世界遺産登録20周年に合わせて石見銀山地域全体に展開する。
なお、石見銀山DX化事業は2024年3月に、デジタル田園都市国家構想に基づき地方の取り組みを支援する国の「デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ 地方創生テレワーク型)」の交付が決定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- リノベ:丸の内「新東京ビル」の環境配慮型リノベが一部完成 三菱地所の設計で大成建設が施工
東京都千代田区丸の内の「新東京ビル」で、大規模リニューアルが一部完了した。丸の内仲通りに面する1階の角部分にピロティ空間を新設し、3階と5階には約30点のアート作品を掲出した。その他の各フロアも順次リニューアルを進め、全体の完了は2025年度を見込む。 - スマート化:建物の「風騒音」発生リスクを3Dモデル上で可視化、風況AI技術で簡易測定も
大成建設は、強風時の建物外壁面の風騒音発生リスクを可視化する「TSounds-Wind」を開発した。風騒音に関する実験データと、建物周辺の風況シミュレーションデータを連携させて、外壁面で風騒音が発生するリスクがある部位や騒音レベルを高精度に予測し、3Dモデル上で可視化する。 - 現場管理:数百台規模のWebカメラで建設現場を遠隔から管理、大成建設とソラコム
大成建設とソラコムは、施工管理業務を効率化するWebカメラシステム「BuildEYE」を開発した。建設現場内に設置した数十〜数百台規模の高性能Wi-Fiカメラの映像情報を基に、工事計画の進捗や安全、品質などを遠隔から管理できる。 - 防災:新たな液状化解析ツールを大成建設が開発 液状化対策工法や基礎構造の検討が可能に
大成建設とアーク情報システムは、新たな液状化解析ツールを開発し、3次元非線形時刻歴応答解析プログラム「TDAPIII」に実装した。地盤の剛性低下や地下水の排出で生じる地盤変形を解析する。 - スマートコンストラクション:トンネル坑内の掘削出来形3D計測システムを大成建設が開発、計測作業2分で完了
大成建設は、山岳トンネル工事で、トンネル坑内の掘削出来形を迅速に把握できる3次元計測システム「T-ファストスキャン」を開発した。計測器設定、3次元計測、機械点測量、撤収といった一連の計測作業が計2分で完了する。 - 製品動向:複数の3D-LiDARを連携、掘削土量を自動計測 大成建設が開発
大成建設は、レーザー光を用いて広範囲を正確かつ迅速に計測できる「3D-LiDAR」を複数台連携させ、土量管理アプリと組み合わせることで、掘削した土砂の量を自動計測する技術「ソイルスキャン」を開発した。