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都市BIMと生成AI活用で石見銀山地区の「デジタルツインバース」構築、大成建設デジタルツイン

大成建設は、現実空間とデジタルツインとをリアルタイムに相互連携できる次世代型メタバースのデジタルツインバースシステム「T-TwinVerse」を開発した。島根県の石見銀山地区をモデルに、都市BIMを組み込み、生成AIを利用してどこからでも自由に情報を登録、参照できるシステムを構築し、地域活性化に役立てる実証実験を開始した。

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 大成建設は2024年6月26日、現実空間とデジタルツイン(現実空間を模した仮想空間)とをリアルタイムに相互連携できる次世代型メタバースのデジタルツインバースシステム「T-TwinVerse」を開発したと発表した。さまざまなステークホルダーが持つ位置、音声、映像などの情報を統合管理することで、リアルタイムで高度な情報共有が可能になる。

T-TwinVerse上の銀山街道の街並み(点群モデル)、3人称視点(左)と巨人の視点(右)
T-TwinVerse上の銀山街道の街並み(点群モデル)、3人称視点(左)と巨人の視点(右) 出典:大成建設プレスリリース

 今回、島根県大田市の石見銀山地区をモデルに、都市のインフラ情報を統合管理する都市BIMを組み込み、生成AIを利用して、どこからでも自由に情報を登録、参照できるシステムを構築した。地方創生に向けた、産官学民協働による実証実験に取り組む。

 今後、関係機関と連携し、石見銀山街道主要部の約1キロの範囲をデジタルツインバースとして展開し、より広域かつ包括的な地方創生のためのDXとして、技術、効果を検証していく。

デジタルツインバースをスピーディかつ高精度に構築

 T-TwinVerseは、(1)大成建設が保有する測量データと3D点群撮影を組み合わせて作成する高精度3D点群デジタルツインモデル技術、(2)3D点群モデルから半自動でBIMモデルを生成するAI技術、(3)街区のあらゆる情報を統合管理し、大規模言語モデル(LLM)を活用する街案内LLM、(4)現地/遠隔地の双方向から接続可能なAR機能付きインターフェース「QURIOS(キュリオス)」の4つの技術を組み合わせて構築したDXプラットフォーム。新築の建物だけでなく、既存建物、各地域のプロジェクトやイベントなどの情報を有するデジタルツインバースを、DXプラットフォーム上でスピーディかつ高精度に機能させることができる。

 建物の3D点群撮影から精緻な建築BIMを作成させるためには、通常約2カ月程度を要するが、T-TwinVerseでは3Dスキャンの点群モデルをそのまま使用するため、数週間程度で安価にデジタルツインバースを作成可能できる。

 大成建設は2022年11月、DXを利用した地方創生のモデルケースとして「石見銀山メタバースプロジェクト」を創設し、デジタルツインバースシステムの構築より異業種間で情報共有を図り、新たな価値を創出するための技術実証実験を展開してきた。プロジェクトの成果をさらに広範囲に波及させる目的で、今回、T-TwinVerseにより石見銀山街道の街並み(延長220メートル)を再現したデジタルツインを構築し、産官学民の共催によるさまざまなワークショップなどを通じ、多様な側面からその効果を検証する実証実験を行う。

 なお、実証実験は、石見銀山地区の地域活性化を目指し、大成建設と島根県大田市、島根県立大学、同地区で古民家を保有する石見銀山群言堂グループによる産官学民協働プロジェクトとして実施している。

 実証実験では、システムを使用した観光コンテンツによる関係人口増加効果の検証や、デジタルツインバースを介した異業種間の情報共有による価値創造、生成AIによる街案内ガイドなどを検証する。また、大成建設が撮影した街の高精度3D点群モデルを基に、生成AIを使用して重要伝統的建造物群保存地区の外観要素を半自動でBIM化する修景支援などにも取り組む。

実証実験のイメージ
実証実験のイメージ 出典:大成建設プレスリリース

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