2024年問題で「適正工期の見直し実感ない」6割、首都圏の内装仕上げ業を調査:調査レポート(2/2 ページ)
野原グループは、内装仕上げ工事業(非住宅分野)の実態調査を行った。調査結果によると、首都圏では適正工期の確保に向けた全体工期見直しの動きは鈍く、5割強が労務費の引き上げ交渉を実施できておらず、処遇改善への道は遠い状況にあると分かった。
交渉ができない理由は、「労務費は見えないことが多く交渉が難しい」
会社規模(従業員数)別に、「労務費/労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できている」の回答率(「はい」との回答率)をみると、1〜4人(n:23)で43.5%、5〜50人(n:100)で46.0%、51〜300人(n:13)で53.8%、301人以上(n:3)で66.7%と、会社規模が大きいほど「労務費/労務単価の引き上げ交渉」ができていると判明した。
「労務費/労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できていない」と回答した74人に、交渉できていない理由を聞くと(複数回答)、最多は「材料費と異なり労務費は見えないことが多く交渉が難しいから(30.0%)」、次いで「元請けと下請けの関係から労務費の交渉は難しいから(23.0%)」「その他(7%)」の順となった。
内装仕上げ工事業の従事者139人に、「元請け(工事発注会社)から“生産性を向上してほしい”との要請はあるか?」と聞くと、「はい」と回答したのは50.4%、「いいえ」が49.6%で約半々。
地域別に「元請け(工事発注会社)から“生産性を向上してほしい”との要請がある」の回答率(「はい」との回答率)は、2024年4月着工建築物床面積(非居住用)が2023年4月と比べて増加傾向にある都道府県のうち、千葉県(66.7%)、東京都(56.5%)、新潟県(100%)が、全体(50.4%)よりも上回った。
<調査概要>
調査時期:2024年5月28日、6月2日
調査対象:野原装栄会、神奈川野原装栄会の正会員(内装仕上げ工事企業)
調査手法:Webまたは調査票配布
調査地域:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県、山梨県
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