2024年問題で「適正工期の見直し実感ない」6割、首都圏の内装仕上げ業を調査:調査レポート(1/2 ページ)
野原グループは、内装仕上げ工事業(非住宅分野)の実態調査を行った。調査結果によると、首都圏では適正工期の確保に向けた全体工期見直しの動きは鈍く、5割強が労務費の引き上げ交渉を実施できておらず、処遇改善への道は遠い状況にあると分かった。
野原グループは、「建設DXで、社会を変えていく」情報メディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」が首都圏の内装仕上げ工事業従事者を対象に2024年5〜6月、「【建設の2024年問題】内装仕上げ工事業の実態調査(非住宅分野)」を調査し、その結果を2024年6月末に発表した。
内装仕上げ工事は、木材、石膏(せっこう)ボード、壁紙、たたみ、カーペット、ふすまなどを用いて建築物の内装仕上を行う専門工事で、工期の終盤に行う。そのため、建設工事全体の遅れが発生した場合、従来は内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事を突貫工事(多くの現場作業員によって短期間で工事を終わらせること)にして、どうにか全体工期を順守してきた。
建設産業を巡っては、国会では2024年6月に「第3次担い手3法」が可決成立。今後、ますます「働き方改革(適正工期)」「処遇改善(労務費)」生産性向上」が「持続可能な建設産業の在り方」にとってのキーワードとなりつつある。さらに2024年4月からは、時間外労働の上限規制厳格化(2024年問題)が建設業にも適用され、既に調査時点で数カ月が経過している。
そこで今回、内装仕上げ工事業の実態調査として、適正工期や労務費、生産性などの現況を内装仕上げ工事業の従事者139人にリサーチした。
「全体工期の見直しの動きを実感していない」は、6割以上
調査ではまず、内装仕上げ工事業の従事者139人に「全体工期の見直しの動きを感じているか?」と尋ねたところ、「はい」と回答したのは36.0%、「いいえ」が64.0%となった。
地域別に「全体工期の見直しの動きを実際に感じている」の回答率(「はい」との回答率)をみると、2024年4月度着工建築物床面積(非居住用)が2023年4月と比べて増加傾向にある都道府県のうち、千葉県(66.7%)、東京都(37.7%)、新潟県(100%)、長野県(50%)は、全体(36%)よりも上振れした。
「全体工期の適正化に連動して、内装工事の工期の見直しの動きを感じているか?」を聞くと、「はい」と回答したのは28.0%、「いいえ」が72.0%。こうした結果には、建築工事が各種専門工事から成り立っていることに由来する工期管理の難しさが表れている。また、内装仕上げ工事など工期終盤の専門工事で、工期適正化を実現するには一定の時間を要することがうかがえる。
「労務費/労務単価の引き上げを元請け(工事発注会社)に交渉できているか?」の質問では、「はい」と回答したのは47.0%、「いいえ」が53.0%だった。
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