清水建設の「Tヘッド工法鉄筋」が適用範囲拡充、高強度化/高耐久ニーズに対応:製品動向
清水建設は、T形に拡径した端部を定着体とする機械式定着鉄筋「Tヘッド工法鉄筋」について、鉄筋の高強度化や高耐久化ニーズに対応するため、適用範囲を拡充した。
清水建設は2024年7月10日、第一高周波工業と共同開発した機械式定着鉄筋「Tヘッド工法鉄筋」について、鉄筋の高強度化や高耐久化ニーズに対応するため、適用範囲を拡充したと発表した。
Tヘッド工法鉄筋を軸方向鉄筋に使用する際、鉄筋母材の仕様の適用範囲を高強度鉄筋「SD590B」まで拡大しても、必要な定着性能を確保できることを確認した。さらに、Tヘッド工法鉄筋に高耐久化のためのエポキシ樹脂塗装を施しても、非塗装の鉄筋と同等の定着性能を有することを確認した。今回拡充した適用範囲はいずれも、土木研究センターの建設技術審査証明(土木系材料/製品/技術、道路保全技術)を取得している。
「SD590B」適用時も、定着性能の基準をクリア
Tヘッド工法鉄筋は、T形に拡径した端部を定着体とする機械式定着鉄筋で、拡径部は鉄筋母材に高周波誘導加熱と加圧アップセットを施し成型加工する。現場で定着体を設置する必要がないため配筋作業の合理化に寄与する他、鉄筋母材から定着帯を一体成型するため他の機械式定着鉄筋と比べて耐疲労性が高いという特徴がある。1999年の製品化以降、適用実績は7000万カ所に達する。
一方で、近年は鉄筋コンクリート構造物に使用される鉄筋の高強度化が進み、これまで適用範囲外だった高強度鉄筋の適用や鉄筋の耐久性についても、より高いレベルの性能が求められていた。そこで、Tヘッド工法鉄筋を軸方向鉄筋として使用する場合の適用範囲について、建設技術審査証明の上限仕様を従来の「SD390」からSD590Bまで高めるため強度試験を重ね、SD590Bに適用した場合でも所定の定着性能を担保できることを確認。また、エポキシ樹脂を被覆したTヘッド工法鉄筋についても高応力繰返し試験を行い、非塗装の鉄筋と同等の定着性能を有することを確認した。
清水建設によると、Tヘッド工法鉄筋以外で、機械式定着鉄筋に使用できる鉄筋仕様はSD490までにとどまり、エポキシ樹脂塗装に対応できる製品は存在しないという。今後は、高強度化、高耐久化に対応できるTヘッド工法鉄筋の優位性を訴求しながら、適用拡大を図る。
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