太平洋セメントの工場から回収したCO2を骨材に固定、安藤ハザマ:カーボンニュートラル
安藤ハザマは、太平洋セメントで化学吸収法により試験回収したCO2を粒状化再生骨材に固定する実験を開始した。
安藤ハザマは2024年6月、CO2固定型コンクリートで、粒状化再生骨材に固定する実験を開始した。
セメント焼成時に排出されたCO2を粒状化再生骨材に固定
安藤ハザマは、ゼネコンや生コン工場、大学など15の企業や団体が結集した「CPコンクリートコンソーシアム(CPCC)」の幹事会社として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)グリーンイノベーション(GI)基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」の採択を受け、2022年から「CARBON POOL(CP)コンクリート」の開発を開始した。
CPコンクリートは、CO2固定量1立方メートルあたり120キロ以上を目標に、解体時のコンクリート塊や建設現場で未使用となったコンクリート(残コン/戻りコン)、生コン工場から排出されるスラッジケーキやスラッジ水に、CO2を固定して原材料に再利用するCO2固定型コンクリート。さらに打設後の養生時にも、CO2ナノバブル水でCO2固定量を最大化する。
2030年の社会実装を目指し、灰孝小野田レミコンとの共同で、2024年6月から埼玉県熊谷市の太平洋セメント熊谷工場で化学吸収法によりCO2を試験回収し、滋賀県栗東市のCPセンターで粒状化再生骨材に固定する実験を開始した。
ここまでの室内実験やセンターでの社会実装を見据えたスケールアップ実験では、工業用液化CO2を使用し、目標とするCO2固定量を達成できたため、今回、セメント焼成時に排出されたCO2を粒状化再生骨材に固定する実験に移行した。
太平洋セメント熊谷工場のCO2分離/回収に用いた設備は、NEDO課題設定型助成事業「炭素循環型セメント製造プロセス技術開発」のもと導入されている。今回は、太平洋セメント熊谷工場での実証試験で回収した450キロのCO2をセンターに設置したCO2固定化仮設備で、粒状化再生骨材に固定した。
CPCCは、2024年秋にも再び、太平洋セメント熊谷工場で試験回収したCO2を用い、粒状化再生骨材にCO2を固定し、CO2を固定した骨材(CP骨材)を使用したCPコンクリートを滋賀県内の公園施設で試験施工する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- BAS:東京駅前の三菱電機ビルソリューションズ新ショールームを視察 スマートビルの技術を一堂に
2022年に三菱電機のビルシステム事業と、三菱電機ビルテクノサービスが経営統合して、発足した「三菱電機ビルソリューションズ」。エレベーターやエスカレーターなどのビル設備を販売するだけでなく、施工や保守、改修までのライフサイクルをカバーするワンストップサービスを展開している。今般、東京駅の目の前に位置する本社ビルに、最新のビルソリューションを展示するショールームをオープンした。顧客とビジョンを共有しながら、サステナビリティやスマートビルなどにつながる共創を目指す、新ショールームを見学した。 - GIS:600種類以上のGISデータ実装 土地の可能性を地図で可視化する竹中工務店の「GISCOVERY」
竹中工務店は、独自に保有する建築や土地に関するデータと、有償/無償のデータを600種類以上統合したGISデータプラットフォーム「GISCOVERY」を構築した。GISCOVERY上には、3D都市モデルや防災計画、都市計画、緑地、人口動態、交通量など膨大なデータを整備し、土地選定や土地評価、建築提案に有効活用できる。 - 産業動向:大和ハウスの非住宅再生ブランド「BIZ Livness」本格始動 2026年度に売上高4000億円
大和ハウス工業は、老朽化が進む非住宅分野のオフィスや工場、医療施設、商業施設などの再生需要に応えるべく、新たな事業ブランド「BIZ Livness」を本格始動させた。グループ内4社の総合力で、自社施工物件だけでなく、他社施工も含め、建て替えやリノベーション、買い取り再販、ZEB化などで、2026年度に売上高4000億円を目指す。 - 脱炭素:滋賀のPCa部材製造工場で「グリーン水素」の蒸気ボイラー稼働、三井住友建設
三井住友建設は、滋賀県東近江市の能登川工場に、水素の製造装置と貯蔵設備を導入した。既に導入している水素蒸気ボイラーとの併用や、再生可能エネルギー100%電力の導入により、カーボンニュートラルの実現を目指す。 - BIMを軸とした建設業の未来像 Vol.2:建設業の課題解決には「情報とそのマネジメントの成熟度が不可欠」伊藤久晴氏がBSIで講演
BIMの根幹となる“情報マネジメント”は、設計〜製造〜施工〜運用の建設生産プロセスで、あらゆる情報が“つながる”ことを意味する。BIMによる情報マネジメントが可能になれば、単にIT化や業務効率化だけでない業界や産業を超えたDX=変革が実現し、その先には建設からのアプローチによる持続可能(サステナブル)な社会ももたらされる。 - デジタルファブリケーション:3DプリンティングとCO2固定化コンクリで、環境負荷低減の“友禅流し”ベンチ製作 金沢工大と鹿島建設
金沢工大と鹿島建設は、CO2で固まるコンクリートを素材に用い、3Dプリンティングで公園のベンチを製作した。今回の産学連携の取り組みで、設計から製造に至るプロセスのデジタル化と、景観に馴染む意匠を表現するための複雑な形状の実現を実証。さらに、3DプリンティングとCO2-SUICOMの融合で、セメント系造形物として、カーボンネガティブとなる3Dプリンティング製作を達成した。