1日掛かりの現況調査が2時間に 鳥取県の地場ゼネコン「美保テクノス」がMatterport導入:BIM(2/2 ページ)
地場ゼネコンの美保テクノスが、点群データのBIM利用や現況撮影/測量業務の工数削減を目的に、デジタルツインを3DスキャンMatterportを採用した。地上型レーザースキャナーよりもコスト効率や機動性に優れ、BIMモデルの基礎となる3Dデータ取得の内製化も実現した。
3Dデータ取得の内製化で、コストと労力を削減
美保テクノスがMatterportを選んだ理由として、BIMモデル作成に必要な測量データの取得(寸法測定作業)に掛かる工数や従業員の移動コスト、個人誤差、測定漏れによる再作業など、測定作業のボトルネックを解消できたことを挙げる。
また、測定を専門業者に外注する必要がなくなり、内製化も実現した。Matterportのソリューションは、直感的操作で迷うことがなく、30分程度のレクチャーを行えば誰でも手軽に扱えるため、自社の従業員が現場訪問して測量と撮影を完了し、外注コストの削減が可能になる。専門企業の少ない地方都市では、自社従業員だけで測定業務を完結できることのメリットは大きい。
建物の改修案件などで図面が残っていないケースは多いが、Matterportでは短時間で点群データを取得して、図面の代わりとなる3Dモデルを生成するため、困ることがない。
地上型レーザースキャナー(TLS)との比較では、Matterportは一般的なTLSと比べて安価で、実機に触れる機会がなかなかない地方ゼネコンにとって、導入検討時の実機検証もしやすい。
取得した点群データやRGBデータは、BIMモデルの作成以外にも活用が見込める。美保テクノスでは、現場を自由に歩き回れるウォークスルー機能を施工管理への展開も検討している。他にも、2Dの図面を見て、3Dの情報として理解するスキルがまだ十分ではない若手社員の理解促進やスキルアップにもつながっている。
美保テクノス 建築本部 BIM戦略部 主任 寺本弘志氏は、BIMの取り組みについて、「当社は建設会社の使命として、顧客に分かりやすい情報を提供したいと考え、2004年からBIMを積極的に採り入れてきた。これまでの実績を踏まえ、BIM活用では山陰地方の先進企業と自負している。平面図などの伝わりにくい情報にはビジュアライズが有効で、竣工後の長期にわたってデータを活用できる点でもBIMは効果的だ」と説明。
Matterport導入のメリットは、「測量や寸法測定、現況調査に関する確かなデータを漏れなく取得できるようになった。測定精度も熟練職人が満足する高い品質で、現場からは次回もMatterportを使って欲しいと要望されている。何より、Matterportの機材やソフトウェアは安価なだけでなく、簡単な説明で誰でもすぐに使いこなせる点が魅力だ」と語る。
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