LED照明を他店舗でリユースできるか パナソニックが札幌で資源循環型ビジネスモデルに挑む:LED(5/5 ページ)
パナソニック エレクトリックワークス社は、デジタル技術を活用したLED照明器具のリユース(再利用)に取り組んでいる。2025年度の事業化を目指し、事業モデルの構築を進める。
7年使用したLED照明器具を他店舗に移設
実証パートナーとして参加したコープさっぽろは、北海道全域に109店舗、配送センター51カ所を展開する。実証では、札幌市内にある「二十四軒店」のバックヤードで7年間使用したLED照明を、蛍光灯器具を利用していた「植物園店」、「菊水元町店」、「ひばりが丘店」(全て札幌市内)の3店舗のバックヤードに移設して活用した。
阿部氏によると「汎用LED照明器具の光源寿命は7年程度だが、二十四軒店のLED照明の余寿命診断を行った結果、あと2〜3年は使用できそうだと分かった。二十四軒店のバックヤードの気温は約15℃で、設計時に想定している周囲温度25℃よりも10℃低かったためだ」と説明した。
LED照明器具には、移設後も一定の明るさを保てているかなどを遠隔で診断できるモニターを搭載し、安全性と機能性について検証した。また、移設先の3店舗から取り外した蛍光灯器具は、リサイクルにあたっての回収方法や中間処理拠点までの輸送、中間処理拠点での分別、分別した素材のメーカーへの輸送など、バリューチェーンの構築についても検証した。
リユースによってLED照明を導入したひばりが丘店店長の長谷川智宏氏に話を聞くと「蛍光灯器具からLED照明器具に取り替えたことでバックヤードが明るくなり、作業しやすくなったと従業員からも好評だ。消費電力も削減できている」と効果を語った。
なお、パナソニック エレクトリックワークス社は、コープさっぽろの店舗や配送センターなどに、月額料金でLED照明器具の機能を提供する「機能提供型サービス」を延べ110件程度提供している。初期投資を抑えてLED照明を利用可能で、メンテナンス費用やエネルギーコストも抑制できる。
コープさっぽろ組織本部 広報部広報メディアグループグループ長の森ゆかり氏は「コープさっぽろは環境配慮の取り組みとして、海岸での清掃活動や家庭からの再生資源回収に加え、事業活動での再生可能エネルギー活用などによりCO2排出量を削減している。今回の実証ではリユースによる蛍光灯器具からLED照明器具への切り替えを実施した。LED化は電気代高騰対策として有効な手段であり、従来廃棄していた蛍光灯器具についてもリサイクルできた。コープさっぽろでは実証の結果を受けて、パナソニック エレクトリックワークス社との再資源化事業や機能提供型サービスなど、SDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みをさらに拡大していきたい」と述べた。
今後はブロックチェーン技術を活用した効果検証も
LED照明器具の寿命は他の電子機器と同じように、投入電力と反比例の関係にある。阿部氏は「脱炭素化のためのエネルギー制御により、製品使用時の消費電力を減らすことで、LED照明器具の負荷が下がって結果的に長寿命化につながる。脱炭素と資源循環の融合は必然的な要素だ」として、今後は2つの要素を融合させた環境面と事業面の効果実証を行うと明らかにした。
また、リユースやリサイクルを中心とした2Rビジネスの普及、促進のためには、バリューチェーン全体のトレーサビリティー確保を証明することがユーザーへの価値提供につながるとして、今後はブロックチェーン技術を活用した効果実証も検討していく。
阿部氏は「2024年度も取り組みを継続して事例を増やし、この実績を踏まえて、2025年度のサービス化を目指したい。構想段階ではあるが、機能提供型サービスのオプションとして提供できないか検討している」と構想を語った。
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