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LED照明を他店舗でリユースできるか パナソニックが札幌で資源循環型ビジネスモデルに挑むLED(4/5 ページ)

パナソニック エレクトリックワークス社は、デジタル技術を活用したLED照明器具のリユース(再利用)に取り組んでいる。2025年度の事業化を目指し、事業モデルの構築を進める。

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ビジネスモデルのカギとなる余寿命診断技術

 阿部氏によると「資源循環型ビジネスモデルを開発するにあたって、重要なポイントは2つあった。1つがLED照明器具の余寿命診断技術で、2つ目がリユースにおける梱包材だ。特にリユースにおいて、余寿命診断は重要なポイントになる」と語る。

 余寿命診断は、リユースやリサイクルの診断を迅速かつ低コストに行うため、デジタル技術を活用してモニタリング(使用時の状態監視)する技術だ。実証では、光束維持率(新品と比較した明るさの維持の割合)の寿命予測である「機能維持」と、電源ブロックのコンデンサーがつぶれて点灯しなくなるといったケースを想定した「機能停止」の2つの故障モードについて検証した。 

 機能維持の故障モードは、実際の使用環境に設置した電力モニターと温度センサーの情報から、累計点灯時間と設計温度に対する温度差を算出し、「設計寿命×温度加速係数−累積点灯時間」の関係式を使用して余寿命を確認し、リユース検証を行った。

ALTALT コープさっぽろひばりが丘店に設置した温度センサー(左)と電力モニター(右)

 機能停止の故障モードについては、約6万台のフィールドデータから故障率を算出し、継続利用時の故障率を確認してリユース検証を実施した。阿部氏は「ラボレベルの取り組みにはなるが、非破壊のモニタリングによる、電源ユニットのコンデンサー電圧からの余寿命診断もできた。将来は不点灯寿命に対しても遠隔化したい」と抱負を語った。

余寿命診断技術
余寿命診断技術 提供:パナソニック エレクトリックワークス社

 2つの目の重要なポイントが、リユースするLED照明器具の梱包材だ。工事会社の作業性確保と、製品保護を両立させることが求められる。実証協力企業の日本通運との協業で、長距離輸送や保管/管理を想定して資材を試作し、輸送テストを行った。

 梱包資材は現場での簡易組み立て式とし、仕切り型の構造で収納する形態とした。保護材のミラマットはLED照明器具の保護に効果がある一方で、作業性が低下するため、使用した場合と使用しなかった場合で評価を行った。

 振動の向き、商品の材質などについて留意する点はあるものの、将来の長距離輸送を見据えたリユース用梱包資材の試作成功を受け、「実施事例を増やしながら改善を重ねていきたい」(阿部氏)と述べている。

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