iPhone/iPadで現場の点群取得、ニコン・トリンブルの手持ち3Dスキャナーに新機能:xR
ニコン・トリンブルは、手持ち3Dスキャナー「Trimble SiteVision」の最新バージョンをリリースした。新たにiPhone搭載のLiDARスキャンに対応し、手軽に3Dスキャニングして、高精度位置情報も含む3D点群が取得できる。
ニコン・トリンブルは2024年5月13日、LiDARスキャン機能に対応し、簡易3Dスキャニングが可能な「Trimble SiteVision(トリンブル サイトビジョン) Version 5.0」をリリースした。
LiDARスキャナー対応で簡易3Dスキャニングに対応
Trimble SiteVisionは、モバイル端末の画面越しに3次元モデルと現実の風景とを重ねて視認するハンディスキャナータイプの屋外ARシステム。設計データを現場に“視える化”し、頭の中で建物の出来上がり状態を想像する必要がなく、誰もが同じイメージを共有する。施工イメージを誰でもつかめるので、発注者や現場作業者への説明、住民説明会などもスムーズに行える。他にも、建設する構造物や重機、立体交差の干渉チェックなど、図面だけでは確認が難しい詳細部分も、モデルを現場に重ね合わせることで簡単に問題点が把握できる。
最新のVersion 5.0では、iPhone 12 Pro以降やiPad Proといったスマートデバイスに搭載されたLiDARスキャン機能を利用して、3D点群データを取得できるようになった。取得した点群にはGNSS(VRS-RTK)受信機で取得した世界測地座標が同時に記録されるため、後処理で点群に座標を関連付ける手間が省ける。そのため、初めて3D点群を観測する人にとっては、手軽かつコストを抑えて導入できるハンディスキャナーとなる。
想定する用途は、1000立法メートル以下の小規模土工施工管理をはじめ、毎日の土量算出、精度をそれほど必要としない小規模な3次元測量など。
また、地下配管の3次元モデルを表示すれば、工事前に埋設物を確認し、施工時の事故も防げる。また、クラウドサービス「Trimble Connect」で、SiteVisionと事務所をつなげば、図面修正の際も現場にいながら事務所で修正データをチェックできる。Web会議システムとの連携で、SiteVisionの画面をオフィスで映す遠隔臨場も可能となり、移動に掛かる交通費削減や交通トラブルの回避につながる。
国交省のBIM/CIM原則適用では、業務・工事ごとに発注者が活用目的を明確にし、受注者が3次元モデルを作成。活用目的の設定では、業務や工事の特性に応じて、義務項目や推奨項目から発注者自身が選択する。
このうち義務項目は、「視覚化による効果」を中心に未経験者も取り組める内容で、原則全ての詳細設計や工事で、発注者が明確にした活用目的に基づき、受注者が3次元モデルを活用する。
推奨項目は、「視覚化による効果」の他、「3次元モデルによる解析」などの高度な項目を含み、受注者が1個以上の項目に取り組むことを目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第6回 建設・測量生産性向上展:陸域や浅水域で使えるグリーンレーザースキャナーシステムの新モデル、アミューズワンセルフが開発
アミューズワンセルフは、陸域や浅水域で使えるグリーンレーザースキャナーシステム「TDOT 7 GREEN」を開発した。水に吸収されにくいグリーンレーザーを照射することで、地上から水面下までの地形をシームレスに3Dで可視化する。 - 現場管理:正答率94%のAI配筋自動検査システム、大林組が開発 外販も視野
大林組は、ステレオカメラの画像データと生成した点群データを活用したAI自動計測技術により、計測精度と作業効率を向上する配筋自動検査システムを開発した。配筋検査業務の作業時間を現状と比較して約36%縮減する。 - デジタルツイン:永平寺と清水建設が重要文化財19棟のデジタルツイン制作
清水建設は、開創から約800年が経過する福井県吉田郡の曹洞宗大本山「永平寺」で、重要文化財19棟の精緻なデジタルツインを制作した。 - 製品動向:ドローンで取得した画像から3D点群/3Dモデルを自動生成、AIアプリ開発プラットフォームの新機能
センシンロボティクスは、スマートデバイスやドローンなどで取得した画像から3D点群/3Dモデルを自動で生成する「SENSYN CORE Mapper」を、AIアプリケーション開発プラットフォーム「SENSYN CORE」に追加した。 - ドローン:清水建設が屋内点検用の“球体ドローン”を採用、地下ピットの点検に活用
清水建設は、スイスのFlyabilityが開発した屋内点検用球体ドローンを、建設現場の点検作業ツールとして導入した。GNSSやコンパスが使用できない屋内空間でも安定した飛行が可能で、地下や高所の点検作業も安全な場所から実施できる。