“角丸”カルバートで部材製作費を15%削減 清水建設JVが新東名トンネル工事に適用:新工法
清水建設を幹事社とする新東名工事のJVは、PCaコンクリート「角丸カルバート」を適用し、凾渠(かんきょ)を構築した。
清水建設は2024年5月9日、新東名高速道路の川西工事で、従来のロの字型ボックスカルバートの代わりに、経済性や施工性が優れた自社開発のPCaコンクリート「角丸カルバート」を適用して、高速道路を横断する凾渠(かんきょ)を構築したと発表した。この結果、従来のPCaボックスカルバートに比べ、部材製作費を15%削減し、施工期間も2カ月短縮した。
従来比で、鉄筋量40%とコンクリ量10%の削減に
ボックスカルバートは、内空が長方形(四角)のトンネルを構築するための構造体。従来のように断面がロの字型の場合、土圧がボックスカルバートの上下や左右から作用すると、側壁と底盤が内側にゆがみ、結果として隅角部の形状がL字からV字になるような力を受ける。
そこで、新たな角丸カルバートは、隅角部に局部的に作用する負荷を分散できるように、隅角部の形状を円弧状にした。円弧状への形状変更だけで、局所的に作用する負荷が30%低減し、従来のボックスカルバートに比べ、鉄筋量とコンクリート量を大幅に削減できることを実証実験で既に確認している。
新東名の川西工事では、角丸カルバートにより全長98メートルの凾渠を構築。角丸カルバート1体の高さは9.7(幅)×7.95(高さ)×1(奥行き)メートルで、側壁と底盤の厚さは70センチ。従来のボックスカルバートでPCa部材を設計した場合に比べ、鉄筋量を40%、コンクリート量を10%削減し、PCaの製作費を15%超減らせる。部材の現場搬入にあたっては、搬送トレーラーの最大積算荷重を考慮し、1体を4ピースに分けて製作することで、1ピースあたりの重さを25トン以下に抑制した。
地盤条件との兼ね合いから、角丸カルバートの施工は2期に分け、1期工事は2022年3月に着手し、22年5月までに延長69メートルのPCa部材69体(1体4ピース)を施工。2期工事には24年3月に着工し、残った29メートルのPCa部材29体を24年4月末までに完了した。
川西工事の全体概要は、中日本高速道路 東京支社の発注で、施工は清水建設・岩田地崎建設JVが担当。工事場所は、神奈川県足柄上郡山北町向原〜静岡県駿東郡小山町生土で、工期は2016年7月22日〜2026年10月6日。
技能労働者の就業人口が激減する中、工期や労務需給を勘案すると、工事現場でコンクリート工事のPCa化が不可避になってきている。清水建設は引き続き、角丸カルバートをはじめ、PCa部材の製作費削減、生産性向上に寄与する技術開発を推進していくとしている。
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