プレキャスト化で基礎梁の施工を合理化 PCa半部材を後打ちコンクリで一体に:新工法
安藤ハザマはプレキャスト(PCa)化により基礎梁の施工を合理化する「PCaパラレル基礎梁工法」を開発した。プレキャスト鉄筋コンクリート半部材(ハーフPCa部材)を使用し、施工現場で後から打ち込んだコンクリートで一体化することで、構造体/部材として機能させる。
安藤ハザマは2024年1月12日、プレキャスト(PCa)化により基礎梁(きそばり)の施工を合理化する「PCaパラレル基礎梁工法」を開発したと発表した。
PCaパラレル基礎梁工法は、プレキャスト鉄筋コンクリート半部材(ハーフPCa部材)を使用し、施工現場で後から打ち込んだコンクリートで一体化することで、構造体/部材として機能させる。
ハーフPCa部材の使用による軽量化に加え、PCa部材が型枠の役割を果たすため、施工の省人化と省力化、短工期化につながる。安藤ハザマの試算によれば、従来工法との比較で現場の人工を約40%削減可能だ。
また、木製型枠材を減らせる他、PCa部材に低炭素型コンクリートを使用することで、CO2削減効果も期待できる。
なお、PCaパラレル基礎梁工法は、2023年10月24日付で日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得した。
PCaパラレル基礎梁工法では、梁を幅方向に3分割し、2つのハーフPCa部材と、中央部の後打ちコンクリート部分で構成する。
安藤ハザマは今後、PCaパラレル基礎梁工法を展開していくことで、働き方改革につながる基礎工事の生産性向上、環境負荷低減を推進する。
基礎工事へのPCa工法の採用には軽量化が課題に
PCa工法は部材の精度と品質の向上、全体工期の短縮などのメリットがあり、主に上部構造の柱や梁で採用されている。しかし基礎梁については、上部構造の梁と比較して重量が約3倍大きくなり、製造や運搬、楊重が困難などの理由からPCa工法は採用されてこなかった。
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