建築設計者向けWebサービス「建物カルテ」の先行版を無償提供 プロジェクト管理を一元化:建築設計
MDlabは、建築設計者向けWebサービス「建物カルテ」の先行リリース版を無償提供している。建物カルテは、建築設計業務の情報共有の円滑化と文書作成の効率化で、労働時間を削減できる。
MDlabは2024年5月7日、建築設計者向けWebサービス「建物カルテ」の先行リリース版を2024年6月末頃までユーザー数限定で、無償提供を開始した。
建物カルテは、建築設計業務に必要な情報をWeb上で一元管理し、設計プロセスのコミュニケーションを効率化する。建築設計業務に必要な文書を出力する機能を備え、作業時間の削減が見込める。
情報共有と文書作成の効率化で、労働時間を削減するWebサービス
現在、BIM導入により、建築設計業務の効率化が進んでいるが、その活用は限定的にとどまっている。業務全体を効率化するには、関係者間のコミュニケーションを円滑化する必要がある。
また、建築設計プロジェクトの情報管理ツールには、Excelが広く使われている。しかし、Excelは汎用性が高いツールのため、建設プロジェクトに適した形での整備や準備が必要で、運用にも時間がかかってしまう。
そこでAMDlabは、従来のツールでは解決できない課題を解決するため、建築設計業務に特化したコミュニケーションの効率を高めるWebサービスとして建物カルテを開発した。
建物カルテは項目ごとに、ロック、非該当、ファイル添付の3つの操作が行える。カルテ項目を編集不可のロックすることで、表示が切り替わり、決定事項が一目で分かる。そのため、どの項目が未定で、どの項目が決定済みかが明確になり、プロジェクトの進捗状況を素早く把握できる。
また、カルテ項目は多岐にわたる事業でも対応するように豊富に用意。ただ、プロジェクトによって不要な項目もあるため、「非該当」としてマークすれば、空欄項目について未定なのか非該当なのか明確に区別できる。さらに、各カルテ項目には、資料や文書も添付して保存。資料が自動で整理され、必要な情報を迅速に検索するのにも役立つ。
建物カルテで管理するプロジェクト情報は、確認申請書(Wordファイル)に自動出力できる(先行リリース版は一部文書のみ)。建築設計業務で、確認申請書に記載する内容の更新は頻繁に発生し、設計者はその都度の整合性確認に多くの時間を要している。そのため、管理している情報を自動出力する確認申請エクスポート機能で、業務にかかる時間の大幅削減につながる。
データセキュリティについては、建物カルテは組織と組織内のプロジェクトに対するアクセス権限を設定できる。アクセス権限の設定で秘匿性が保たれるので、特にセキュリティ性が求められるプロジェクトでは有効となる。
先行リリース版は、無償によるユーザー数限定の公開で、利用期間は2024年5月から2024年6月末頃まで。対応Webブラウザは、WindowsOSがEdge、Chromeで、MacOSはChrome。2024年6月末には、機能追加版をリリース予定。
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