住友林業のビッグフレーム構法で構造設計を「全自動化」 5時間がAIで10分に短縮:AI
住友林業は独自開発したビッグフレーム構法の構造設計をAIで全自動化した。これまで5時間掛かっていたCAD入力が、10分で済むようになり、構造設計者の知識や経験に左右されない業務プロセスの標準化にもつながる。
住友林業は2023年12月25日、木質梁(はり)勝ちラーメン構法を用いた独自のビッグフレーム構法を対象とする「全自動構造設計システム」を開発し、100%子会社で木造建築の総合設計を手掛ける住友林業アーキテクノで運用を開始したと発表した。
AI導入でCAD入力時間の大幅削減と設計業務のプロセスを標準化
建物の形状や柱、梁などの位置からAIが最適な構造部材(柱、梁、基礎など)とその断面や接合部の仕様を選定するCAD入力による構造設計業務を全自動化した。
全自動構造設計システムは、建物形状や柱、梁の位置などの構造計画をもとに居住性、耐震/耐風性、施工性、製造コストを考慮し、AIが最適な構造部材を選定する。構造設計者のCAD入力時間を大幅に削減しただけでなく、業務プロセスを標準化して結果確認に要する時間も短縮。AIが最適な施工手順や材料の歩留まりを考慮して設計するため、施工精度の向上や製造コストの削減にも寄与する。
構造設計者の知識や経験によってバラつきのあった業務プロセスを標準化し、構造設計の作業効率が大幅に改善した。これまで、構造設計者が約5時間費やしていたCAD入力が10分程度で完了する。
住友林業アーキテクノは、住友林業が独自開発した構造設計システムを用いて設計しており、構造計算や建物の安全性に関する技術基準を満たすため、多大な時間を費やし、納期調整や人財確保に苦慮していた。ビッグフレーム構法の構造設計は、住友林業独自の技術基準に対する理解や経験が必要で、作業時間も構造設計者の力量に依存し、業務プロセスの標準化が課題となっていた。
住友林業は全自動構造設計システムについて今後、構造設計者が柱や梁の適切な配置を考えている構造計画も全自動化する。同時に、日々の業務で蓄積した構造設計データやAIを活用し、さらなる作業時間の短縮につなげる。住友林業グループでは、全自動構造設計システムを起点に、申し込みから設計、施工、引き渡しまでの住宅生産プロセス全般でAIを活用し、木造住宅の付加価値や顧客満足度の向上を目指す。
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