「ICT施工」で押さえておきたいポイント サイバー攻撃で「建機乗っ取り」はあり得る?:BUILTトレンドウォッチ(4)(2/2 ページ)
野原グループが運営する「BuildApp News(ビルドアップ ニュース)」とBUILTがコラボした本連載「BUILTトレンドウォッチ」では、建設DXの実現に向けた基礎知識から、法令動向、最新技術など、旬なキーワードをピックアップして解説します。
ICT施工のメリット
ICT施工のメリットとしては、下記が挙げられます。
- 省人化ができる
- 施工日数が短くなる
- 施工精度が上がる
- 作業員の安全性が高まる
- 環境に優しい施工ができる
- 施工データを記録できる
ICT施工では、ドローンやICT建設機械といったIT技術を活用します。そのため作業人員や日数を短縮でき、スピーディーな工事が可能となります。
また、建機の乗降といった手間が省けることで安全性が高まり、無駄な工程をカットして環境負荷を低減できるでしょう。施工データが記録できることで、履歴の確認や技術評価が「見える化」しやすくなります。
ICT施工のデメリット
一方で、ICT施工にはデメリットもあります。
- システムの初期費用が掛かる
- ICT建機などのメンテナンスが必要
- 操作技能習得の必要がある
- 通信が途切れると使えなくなる
- サイバー攻撃のリスクがある
ICT施工では「ICT建設機械」や「ドローン」といった測量機器やソフトウェアを用意する必要があります。また適宜メンテナンスを行うため、維持管理費用も余計に掛かるのがデメリットです。従来の施工に慣れていた技術者の方が、新たに作業技能を習得する手間もあるでしょう。
さらに通信技術を用いるため、天候不良や機器の不調時には施工自体が行えないケースも出てきます。場合によっては、サイバー攻撃を受ける可能性も考慮しなければなりません。
ICT施工は「サイバー攻撃」の危険もある?
ICT施工では建機が、。に接続するため、最悪の場合「ハッカーに乗っ取られる」可能性があります。
既に乗用車は「コネクテッドカー(ICT端末としての機能を持つ車)」の時代に突入しており、一般車両にも搭載されるようになっています。「車載端末でYouTubeの動画が見られる」「スマホと車が同期してアプリがそのまま使える」など、便利な機能が使えて人気です。また「自動運転」にはクラウド通信が必須のため、将来的にはほぼ全ての車で搭載されると考えられます。
便利な反面、「ハッキングのリスク」もあります。実際に「セルラーネットワーク経由でハンドル操作ができた」「外部からの盗難防止アラームの無効化」といった事例が報告されており、同様の事象がICT施工でも起こる可能性があるでしょう。
自動車のサイバーセキュリティ対策は?
自動車のサイバーセキュリティ対策としては2022年7月以降、国際規格である「UN-R155」による規制が段階的にスタートしています。これは自動車に対して「サイバーセキュリティ対策」を義務付けるもので、不正な操作による事故などの防止が徹底されているのが特徴です。
重機が制御不能になってしまった場合、重大な事故につながりかねません。ICT施工に関しても、さまざまなリスクに対応していく必要があります。
サイバーセキュリティおよびソフトウェアアップデートの国際基準の概要 出典:国土交通省「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令及び道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正する告示について」
ICT施工で建設現場の生産性向上を実現
ICT施工には、初期費用やネットワーク通信の安全性などのマイナス面はあります。ただ、ITを用いることで「省人化や業務効率化ができる」などのメリットが大きく、国土交通省も普及を推進しています。今後のさらなる活用に向け、対応の強化が急がれるでしょう。
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