現場をVRデータ化して施工管理する新サービス「Stages」開始、野原グループ:xR
野原グループは、施工現場のVR撮影データを生成し、工事管理や監理業務といった施工管理を支援するサービス「Stages(ステージーズ)」を開始した。
野原グループは、施工現場をVR用に撮影したデータを重ね合わせて閲覧できる施工管理支援サービス「Stages(ステージーズ)」を2023年12月12日から開始した。サービスを通して、建設/不動産業界の3DデータやVR空間モデルといったデジタルツイン活用の支援につなげる。
手軽にデジタルツインを使い、VR施工管理が可能に
Stagesは、施工段階ごとに、Matterport(マターポート)の360度カメラで取得するVR用の撮影データを使い、施工管理の質と効率性を向上できるサービス。建設中から完成までの各段階で、視覚的に分かりやすいVR空間の中に、2D図面やBIMモデル、点群データなども重ね、計画内容と実際の施工状況を比較しながらの施工管理が実現する。
VRデータの作成は、任意の頻度で施工状況を撮影し、翌日にはデジタルツインとして利用できるため、現場訪問の時間節約に加え、従来は難しかった建物完成時に視認できない、隠蔽部の記録管理にも役立つ。
デジタルツインの中では、ペンツールやボイスメモを使用してメモを残せるため、遠隔での施工管理や設計監理が行える利点もある。
サービスは、BIM設計−製造−施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」の施工管理向けサービス群に含まれる。BuildAppは、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータにし、各建設工程で必要なデータとして用い、建設工程全体の生産性向上につなげるクラウドサービスだ。
設計積算から、製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、手間や手戻りを無くし、製造/流通の建設サプライチェーンを最適化して、コスト削減と廃棄物やCO2の削減にも貢献する。
野原グループは現在、建設プロセスの施工(特に内装工事と建具工事)に関連するサービス群を中心に開発し、現場実証を進めており、将来は対応工事の種類を拡大し、建設の全てのプロセスに向けたサービス群を完備する予定であり、オープンプラットフォーム化を目標に見据える。
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