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段ボールから建物用セルロース系断熱材を製造、東急建設が米ベンチャーに出資:製品動向
東急建設は、リサイクル段ボールを原料に建物用のセルロース系断熱材を製造/販売する米国のベンチャー企業CleanFiberに出資した。
東急建設は2024年4月15日、グローバル・ブレインが運営する「TOKYU-CONST GB Innovation Fund L.P.」を通じて、米国のベンチャー企業CleanFiberに出資したと発表した。CleanFiberはリサイクル段ボールを原料に、建物用セルロース系断熱材の製造/販売を手掛けている。
独自技術により粉塵が少ない断熱材製造を実現、米国市場でシェアを拡大
CleanFiberの断熱材は、独自のセルロース難燃化技術により、粉塵(ふんじん)が少なく取り扱いが容易な製品だ。安価なリサイクル段ボール材を断熱材の原料に使用することで、製造コストを削減する。米国ニューヨーク州の工場では既に量産を開始しており、米国市場でシェアを伸ばしているという。
セルロース由来の断熱材は吸放湿性や遮音性、防虫性などの性能に加え、製造過程のCO2排出量が少ないなどのメリットがある。一方で、現在の日本市場では他の断熱材より価格が高いことや施工業者の少なさなどを理由に用途が限定されている。
東急建設は、CleanFiberが独自技術により低価格を実現している点を高く評価しており、環境への意識が高まる日本や他国においても需要が見込まれると予想している。今後はグローバル・ブレインと連携し、CleanFiberの日本におけるセルロース系断熱材の普及拡大を支援する。
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