稼働中の冷蔵倉庫でも施工可能な「THJ耐震補強工法」が建築技術性能証明を取得、東亜建設工業:施工
東亜建設工業が開発した「THJ耐震補強工法」が建築技術性能証明を取得した。THJ耐震補強工法は、稼働中の冷蔵倉庫内でも常温環境下と同等の耐震性能を確保できる耐震補強工法。
東亜建設工業は、2021年に開発した稼働中のマイナス温度帯に保った冷蔵倉庫内でも、常温の施工と同等の耐震性能を確保できる耐震補強工法「THJ(Toa Heating Joint)耐震補強工法」について、建築技術性能証明をビューローベリタスジャパンより取得したと2023年3月30日に発表した。
冷蔵倉庫の中で最も需要が高いマイナス25度にも対応
THJ耐震補強工法は、稼働中の冷蔵倉庫内でも常温環境下と同等の耐震性能を確保できる耐震補強工法。対象建屋は、鉄筋コンクリート(RC)造・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の冷蔵倉庫で、最上階や屋根が鉄骨(S)造も含む。
さらに、F1級冷蔵倉庫の中で最も需要が高い「マイナス25度以上の冷凍温度帯」でも適用できる。特長としては東亜建設工業独自の方法によって、冷蔵倉庫内をマイナス25℃以上の冷凍温度帯に保持した稼働状態でも、常温環境下と同等の耐震性能を有する耐震改修を実現できる点が特長となっている。
旧耐震基準に基づいて建てられたF級(フリーザー級)冷蔵倉庫は、現在も多くが稼働しているが、多くは耐震改修促進法における耐震性能の判断基準となる構造耐震指標(Is値)0.6を下回っているため、地震による倒壊または崩壊のおそれがあり、耐震改修の早急な実施が望まれる。
しかし、冷蔵倉庫を建て替えるには、倉庫内の荷物を他の倉庫へ一時的に移動する必要があり、仮保管できる倉庫も限られるため、事業に多大な影響を及ぼす。また、冷蔵倉庫の耐震改修工事を実施する場合にも、冷凍機を停止し、倉庫内を常温に戻してから施工する必要があるため、建て替えの場合と同様に一時的に荷物を移動しなければならなかった。
そこで東亜建設工業は、稼働中の冷蔵倉庫内で常温環境下での施工と同等の耐震性能を確保できる耐震補強工法としてTHJ耐震補強工法を開発した。
工法ではRC/SRC造の柱梁構面内に「鉄骨枠付きブレース」を増設し、S造には既存鉄骨ブレースを交換または増設する。一般に、鉄骨枠付きブレースを増設する場合は、ブレースをグラウトにより、既存躯体へ間接的に接合する。しかし、「マイナス25℃冷凍」で稼働中の冷蔵倉庫内では、打設したグラウトは瞬時に凍結するため施工できないという問題があった。
本工法では間接接合部(Joint)の型枠に「面状発熱体」「断熱材」を設け、鉄骨枠のウェブにも断熱材を設置することで、採暖(Heating)で凍結を防止しつつ、グラウトを打設するため、常温環境下と同等の品質を確保できるようにした。
今回の建築技術性能証明の取得により、THJ耐震補強工法の耐震性能に対する信頼性がさらに高まるとともに、今後、本工法を採用する施主にとっては耐震改修工事に関する自治体などからの補助金を得られやすくなるメリットが生まれる。
さらにTHJ耐震補強工法は、旧耐震基準となっている冷蔵倉庫の建物寿命を延命することにつながるため、東亜建設工業は「冷蔵倉庫の相談室」を窓口として工法の普及や促進を図り、スクラップアンドビルドによる環境負荷の低減を実現し、SDGsの実現に貢献したい考えだ。
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