愛三工業の新工場新築で、大林組が環境配慮型工場の実現へ:カーボンニュートラル
大林組は、愛三工業の安城新工場(仮称)新築工事で、帯水層蓄熱空調システムなどの導入により、環境配慮型工場の実現を目指している。
大林組は、愛知県安城市東端町で建設を進める愛三工業の「安城新工場(仮称)新築工事」で、中部地方初となる大規模帯水層蓄熱空調システムをはじめ、さまざまな省エネルギー技術に加え、創エネルギー技術の導入で、工場全体のカーボンニュートラルを目指す環境配慮型工場の実現に取り組んでいる。
安城新工場の新築工事は、大林組・中日設計JVの設計、大林組の施工で、2024年2月1日に着工し、2025年4月30日の完成を予定している。
大規模の帯水層蓄熱空調システムを導入するのは中部地方初
愛三工業は、「脱炭素、資源循環、自然共生(生物多様性)」に注目し、循環性の高い事業活動への転換を積極的に進めている。その一環として、既存の安城工場隣接地に、水素関連製品や電動化製品などの製造拠点となる新工場を建設し、地域社会や自然環境との共存共栄と快適な労働環境の中での革新的なものづくりを目標に掲げている。
新工場の建設にあたり、大林組は計画段階から、1階生産エリア(生産設備を除く)とオフィスエリアのエネルギー年間収支±0とし、省エネルギー技術と創エネルギー技術の導入を提案した他、低炭素建材の採用など、脱炭素化に向けたソリューション提案を行ってきた。
生産エリアには、地中熱の利用により、従来の空調システムに比べ約52%のエネルギー削減が見込める帯水層蓄熱空調システムや置換空調(成層空調)システムを導入。帯水層蓄熱空調システムは、地中熱を利用した空調システムで、一般的な冷暖房システムが大気に排熱を放出するのに対し、排熱を地下の帯水層に蓄え、蓄えた熱を季節ごとに交換して使用することで省エネによるCO2削減に加え、ヒートアイランド現象の軽減を実現する。大林組によれば、大規模(700キロワット以上)のシステムを導入するのは中部地方初とのこと。
オフィスエリアには、シミュレーションで設計された自然換気や採光とともに、高効率空調機や人感センサーによる連動照明など、多様な省エネルギーソリューションを採り入れる。屋上には、太陽光発電や蓄電池など創エネルギーソリューションを設置し、ビオトープなどの資源循環や自然共生(生物多様性)につながる技術も採用する。
安城新工場の構造と規模は、S造で建築面積は1万3236平方メートル、延べ床面積は2万4815平方メートル。
大林組は、本件を含め多様な施設の建設に携わってきた知見をもとに、今後も環境配慮型工場をはじめ、脱炭素、資源循環、自然共生に配慮した施設のための多彩なソリューションを提案していくとしている。
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