福井コンピュータ、BIM/CIM道路設計3DCADシステムをアップデート 土木設計を効率化:製品動向
福井コンピュータは、BIM/CIM道路設計3DCADシステム「TREND ROAD Designer」をアップデートし、設計パーツや設計機能の追加、既存機能のブラッシュアップを行う。リリースは2024年4月と7月を予定している。
福井コンピュータは2024年3月4日、BIM/CIM道路設計3DCADシステム「TREND ROAD Designer(トレンド ロード デザイナー)」のアップデート版をリリースすると発表した。2024年4月23日には、土木セルによる交差点/取付道路/拡幅などの設計パーツの追加と、既存機能のブラッシュアップを実施、7月には排水計画、排水構造物の設計機能を追加する。
国内の設計手法に沿った仕様改良や機能拡充を実施
TREND ROAD Designerは、米国企業ベントレー・システムズが提供する道路の計画/設計/施工/運用のための業界標準CAD「Open Roads Designer」をベースに、日本国内の法令や基準に準拠した道路/構造物設計を行えるように、福井コンピュータが独自改良した日本語版OEM製品。2023年7月、道路設計の基本機能部分を先行して日本での販売を開始した。
土木セルは、さまざまな要素を1つのユニットとしてテンプレート化し、道路の交差状態などに応じて、構成する各要素が可変、追従する3D設計パーツだ。アップデート版では、計画線形や既存道路に交差点の基本モデルになる土木セルを配置し、滞留長/シフト長/交差点半径/停止線位置/横断歩道位置/幅員などを調整して、交差点設計を効率化する。
既存機能のブラッシュアップでは、縦断図(VCL旗揚げ)や横断図(測点名/CL線/DL線表示)などを国内仕様へ対応した他、旗揚げ項目の日本語表示、座標変換機能(最小二乗法/ヘルマート/アフィンなど)を追加。また、IFCエクスポート機能を強化し、排水構造物など全ての複合オブジェクトが出力可能となった。さらに、測点/オフセットレポートの利便性を向上するとともに、道路交差部などの縦断交点を連続で抽出できるように改良した。
7月にリリース予定の排水計画、排水構造物の設計機能追加では、3Dの現況地形や計画モデルから流域/流向を分析して排水計画を行う他、集水桝や側溝、暗渠などの排水系統計画や、付随する構造物を3Dモデル空間で作成する。降雨データによるネットワーク解析により、流量や流速、水位なども分析する。さらに、水理縦断から図面作成も可能だ。
TREND ROAD Designerの価格は初回登録料2万円(税別)、年間使用料は36万円(税別)。福井コンピュータは今後も、測量から設計、施工といったプロジェクト全体における3Dソリューションの供給体制を強化していく。
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