20秒でデジタルツインを生成するカメラ「Matterport Pro3」に高密度スキャン機能 500万点の点群取得:デジタルツイン
20秒で建設現場をデジタルツイン化するカメラ「Matterport Pro3」に、500万点の点群データを取得できる高密度スキャン機能が搭載された。
米Matterportは2024年2月21日、3D LiDARスキャナーデジタルカメラ「Matterport Pro3(以下、Pro3)」に、高密度スキャン機能を新たに追加した。高密度スキャン機能は、現在はβ版として、全てのPro3ユーザーに提供する。
スキャン1回あたり、500万点の点群データを取得
Pro3は、これまで撮影が難しかった直射日光が当たる屋外施設にも、Matterportシリーズ初のLiDARスキャナー搭載で対応した3Dスキャンカメラ。最大100メートルの範囲を1スキャン20秒未満で測距し、4Kにも応える高精細な建築現場のデジタルツイン生成が実現する。
β版の高密度スキャンは、現場の状況を計測して3Dデータ化する「As-built(アズビルド)」のモデリングを今まで以上に簡素化し、ワークフローの効率化やエラーの最小化、プロジェクト期間の短縮に寄与する。
As-builtは通常、点群ファイルの形式でレンダリングし、設計・施工、設備管理に使うBIM作成の基礎データとなる。高密度スキャンによって、1回あたりの点群データは、Pro3のスキャンモードと比較して6倍の密度となる500万点以上を取得する。建築現場や商業施設、その他の複雑な構造を持つ建物の細部や繊細な箇所までを精密に捉えられる。スキャンした高密度な点群データは、E57ファイルの形で取得し、Autodesk RevitなどのBIMソフトウェアにインポートできる。これまで高額で難しかったAs-builtモデリングがより手軽になり、導入の障壁が低減される。
スキャン時には、3つの密度オプションから選択。標準密度は20秒以内で80万点の点群データ、中密度は45秒以内で150万点、高密度は2分以内で500万点の各取得時間でそれぞれの密度の点群データが得られる。
高密度スキャン機能の利用には、Pro3ユーザーであればβ版に登録し、ファームウェアをアップデートする必要がある。
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