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高齢化社会の住まいで避けては通れない「ヒートショック」、住宅設備メーカー各社の対応製品とは?〈5社共催〉ヒートショック対策リフォーム セミナーレポート(1/3 ページ)

かつてない超高齢化社会へ向いつつある我が国において、住まいに関わる重要課題として、ここ最近クローズアップされているのが、「ヒートショック」問題である。現在でも、交通事故による死者数よりも多くの人々が、ヒートショックによる家庭内事故で亡くなっているという。

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 温度の急激な変化で、血圧が上下に大きく変動することで、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす「ヒートショック」。建材専門商社の伊藤忠建材と、フクビ化学工業、タカラスタンダード、リンナイ、YKK APの住宅設備機器メーカー4社が共同で、「ヒートショック対策」をテーマに2021年末、Webセミナーを開催した。本稿では、セミナーレポートとして、合計5社の住宅リフォームによるヒートショック対策を紹介していく。

ヒートショックの現状と課題

 セミナー第1部を受け持った伊藤忠建材 住建事業統括室 藤倉眞氏の講演は、なぜヒートショックが重要な課題になっているのか──。その根底にある日本社会の現状を俯瞰することから始まった。

 藤倉氏が着目したのは“超高齢化社会の到来”。日本の総人口は、2008年に1億2809人でピークを迎えたが、以降は減り続け、30年後の2053年には1億人を割るとされている(出典:総務省「国勢調査」、社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」からの推計)。

 これは単に、「1億人を超えたのが元の木阿弥に戻る」だけではない。急速な高齢化も同時進行し、2026年には65歳以上の高齢者が世界で初めて30%を超え、総人口が1億人を割る2053年には38%が高齢者となってしまう。いわば、10人居れば4人弱が高齢者ということになるのだ。さらに注目すべきは、その「平均寿命と健康寿命」である。


元の木阿弥で1億人に戻るという話ではない

 日本人の平均寿命は、2016年に男性も80歳を超えたが、自立して生活できる健康寿命は同年で72歳。平均寿命と約9年の差があった。両者になぜこれほどの差があるのか。

 理由の1つには、「家庭内事故死」の増加がある。1995年に1万5000人超だった交通事故死者は、2020年には3718人にまで減少。これに対し、家庭内事故死は年々増え続け、2020年には1万3708人となった。しかも、このうち5451人は水死で、その多くがヒートショックによるものと考えられている。つまり、入浴のために「寒い」洗面脱衣所に行って血管が収縮し、血圧が上昇。その後、「熱い」風呂に入って急激に血管が広がり、血圧が急降下して意識を失うヒートショック状態となる。その結果、浴槽内で溺れたり脳梗塞や心筋梗塞を発症したりする。


交通事故死は半減・家庭内事故死は倍増

 藤倉氏は、リビングアメニティ協会が一般人を対象に行った「2020年度 人生100年時代に向けた住宅設備・建材のニーズ把握調査」というアンケート結果を提示した。

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