能登半島地震を受け、地盤情報を網羅した「地盤安心マップ PRO」を1月末まで無料開放:BCP
地盤ネットは、令和6(2024)年能登半島地震の被害状況を踏まえ、今後の防災対策と意識向上を目的に、「地盤安心マップ PRO」のアカウントを期間限定で無料開放した。
地盤ネットホールディングス子会社の地盤ネットは2024年1月1日に発生した「令和6(2024)年能登半島地震」の被害状況を鑑み、今後の防災対策と意識向上を目的に、災害リスク情報を地図上に可視化した「地盤安心マップ PRO」のアカウントを2024年1月31日まで無料開放した。
膨大な地盤情報を簡単操作で一度に確認できる「地盤安心マップ PRO」
地盤安心マップ PROには、40項目以上の地盤や災害、不動産情報を掲載。現況の空撮写真に加え、古い航空写真や旧版地形図との比較で、歴史的な地形や用途などといった地歴情報を年代を追いながら確認できる。
地盤ネット判定マップでは、これまでに蓄積した膨大な地盤改良工事の要/不要情報を表示し、地盤特性を事前に把握することで土地選びに役立つ。他にも、国土交通省が公表しているボーリング柱状図データ、防災対策や土地利用、保全、開発に必要な土地条件図など、省庁や機関ごとのWebサイトでバラバラに掲載されていた地盤関連のデータを集約している。
地盤安心マップ PROの利用方法は、専用URLからログイン。5つの無料開放IDの中から空いているIDを選び、共通パスワード「20240105」を入力してアクセス。アカウントの同時ログインは不可のため、利用終了時にはログアウト必須。
無料開放IDは、「freemap1@jibannet.co.jp」「freemap2@jibannet.co.jp」「freemap3@jibannet.co.jp」「freemap4@jibannet.co.jp」「freemap5@jibannet.co.jp」。利用期間は2024年1月31日まで。
「地盤安心マップ PRO」の操作手順。1.検索欄に住所を入力するか、2.地図上で直接クリック。3.地図上には指定した地点の「地盤安心スコア」が表示される。4.「クリック情報」には、その場所の詳細情報が記載されている。5.「申し込みボタン」からは、指定した地点の「地盤カルテ」発行(無料)や「地盤調査」が申し込める 出典:地盤ネットWebサイト
地盤安心マップ PROの揺れやすさマップで、赤いエリアに該当する場合は、地震動の影響を強く受ける可能性がある。昭和56(1981)年以前に建築された建物は「旧耐震基準」のため、耐震性が不十分なものが多く存在する。そのため、住まいの状態を詳しく知りたい場合は、精密な地震計「デジタル耐震チェック」の活用を推奨している。
地盤調査サービスの一部収益を被災地に寄付
また、地盤ネットは今回の地震を受け、個人向けの地盤調査サービスで得た収益の一部を、災害被災地の支援を目的に日本赤十字社へ寄付する「地盤でつながる安心プロジェクト」も2024年1月12日に立ち上げた。
対象サービスは、スクリューウエイト貫入試験と孔内水位確認、土質サンプリングでに地盤の地耐力と簡易液状化検討を行う「地盤カルテ PLUS」と、物理探査手法でISO国際規格を取得した微動探査機を活用して、既存住宅の揺れやすさと地盤の揺れやすさを調べる「デジタル耐震チェック」の2つ。
地盤ネットは、能登半島地震の影響で、住宅の不同沈下が発生している状況にあるとして、「建築した工務店が廃業していて誰に相談してよいか分からない」「家が傾いているかもしれないので計測して欲しい」といったニーズに対し、不同沈下の相談にも応じるとしている。
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