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熊本地震で全倒壊した「阿蘇神社楼門」 清水建設の施工で7年8カ月ぶりに蘇るプロジェクト

熊本地震で全倒壊した「阿蘇神社楼門」が清水建設の施工で、7年8カ月ぶりに往時の姿を完全に取り戻した。修復工事では、震度7に耐える耐震鉄骨を組み込む際、部材加工を最小限に留め、再利用することで、文化財としての価値を損なわずに修復を果たした。

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 2016年4月に熊本地震で全倒壊した熊本県阿蘇市一の宮町の「阿蘇神社楼門」が、清水建設の施工で7年8カ月ぶりに往時の姿を完全に取り戻し、2023年12月7日に竣工した。

 阿蘇神社の主催による竣工祭では、250人を超える参列者のもと、修復された楼門を初めてくぐりぬける「くぐり初め」の儀式を行った。

全倒壊した楼門から1万点以上の部材を回収し、再利用率は72%

 江戸時代末期に造営され、国の重要文化財に指定されていた阿蘇神社の社殿群6棟は、2016年4月に発生した熊本地震で甚大な被害を受けた。日本三大楼門の一つとされる楼門は全倒壊、三の神殿は損壊、一の神殿、二の神殿、神幸門(みゆきもん)と還御門(かんぎょもん)は部分損壊した。

熊本地震発生直後の阿蘇神社
熊本地震発生直後の阿蘇神社 出典:清水建設プレスリリース

 清水建設は、文化財建造物保存技術協会(文建協)の設計・監理の下、2016年10月から社殿群の一連の保存修理工事に従事している。楼門を除く国指定重要文化財5棟の修復は2019年3月までに終了し、楼門の修復には7年8カ月の歳月を要した。

 修復に先立ち、2018年3月末までに全倒壊した楼門から約1万1000点に及ぶ部材を回収。極力再利用することを前提に、再利用や部分的補修、代替が必要な部材にそれぞれ分類し、部材の補修と代替部材の製作を進めた。その結果、回収した部材の再利用率は72%に達したという。

 復元工事にあたり、施工ヤードを覆うため、28(幅)×22.8(高さ)×24.5(奥行き)メートルの素屋根を架設した。その中で楼門の修復を進め、2022年9月に再上棟、2023年3月には屋根の銅板葺きを終え、4月から素屋根の解体に着手した。2023年7月の解体終了後は、仮囲いの中で楼門廻りの土間コンクリートの施工、掲示板の修復などを行った。

施工期間中、楼門を覆っていた素屋根。素屋根の東側壁面には実物大の楼門写真を掲出し、参拝者の注目を集めた
施工期間中、楼門を覆っていた素屋根。素屋根の東側壁面には実物大の楼門写真を掲出し、参拝者の注目を集めた 出典:清水建設プレスリリース

 清水建設によれば、施工上で困難を極めたのは、従来の部材で骨組を組み上げつつ、震度7の地震に耐えられるように、もともとなかった耐震鉄骨を骨組の中に納めることだったという。そこで文建協と対応策について協議を重ね、部材の加工を最小限に留め、楼門の文化財としての価値を棄損(きそん)することなく、修復が完了した。

竣工した阿蘇神社楼門
竣工した阿蘇神社楼門 出典:清水建設プレスリリース

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