能登半島地震、被災地企業は9.6万社超 建設業1.8万社以上に影響:産業動向
東京商工リサーチは、「令和6年能登半島地震」の被災地となった4県27市6町1村に本社を置く建設業は1万8256社と発表した。
東京商工リサーチは2024年1月5日、「令和6年能登半島地震」の発生を受けて、石川県輪島市や珠洲市などの被災地に本社を置く企業をデータベースから抽出し、分析した結果を発表した。国土交通省「土砂災害警戒情報基準」の暫定基準を設けた4県27市6町1村に本社を置く企業数は9万6158社で、このうち、建設業関連の企業は1万8256社に上ることが明らかになった。
業種別にみると建設業の2業種が上位に
被災地に本社が所在する企業の業種は、「総合工事業」が8009社と最も多く、次いで「職別工事業」の5938社で、建設業の業種が上位に入った。他にも建設関連では、「設備工事業」の4309社、「不動産賃貸業・管理業」の3789社もあった。
産業別の従業員数をみると、建設業は合計13万4288人(13.4%)。売上高は全体の11.7%に当たる約3兆4722億円に上る。
産業別では、「サービス業他」が3万5891社(従業員数35万4141人、売上高8兆2590億円)で全体の約4割を占めており、影響が懸念される。
県別では新潟県が4割超で最多、石川は3割
県別では新潟県が4万2933社(44.6%)、石川県2万9150社(30.3%)、富山県2万3333社(24.2%)、福井県742社(0.7%)だった。
地震直後、高速道路の一部や鉄道が止まり、各地で土砂崩れや地割れが発生した。現在も、道路やライフラインが寸断されたままの地域がある。政府はすでに被災地への支援を発表し、日本銀行も金融機関などに対して、事業者への配慮を要請している。
なお、今回の調査では東京商工リサーチが保有する企業データ約400万社から、石川県・富山県・福井県・新潟県の対象地域に実質本社を置く企業を抽出し、産業・売上高・従業員数などを分析した。
対象地域は以下の通り。
石川県(金沢市、七尾市、小松市、輪島市、珠洲市、加賀市、羽咋市、かほく市、能美市、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町)、富山県(富山市、高岡市、氷見市、小矢部市、南砺市、射水市)、福井県(あわら市)、新潟県(新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、燕市、見附市、糸魚川市、妙高市、上越市、佐渡市、南魚沼市、阿賀町、刈羽村)
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