安藤ハザマ、建設分野に特化した文章生成AIの運用開始 画像/動画の生成にも着手:AI
安藤ハザマは建設分野に特化した文章生成AIの運用を開始した。建設業向けの大規模言語モデル(LLM)を導入するとともに、自社の施工技術や研究開発などに関する独自データを取り込み、専門的な質問に対しても正確な回答を得られるようになった。今後は外部データベースとの連携や、設計などのクリエイティブ領域における生成AI開発を進める。
安藤ハザマは2024年1月11日、建設分野特化型の生成AIを開発し、社内運用を開始したと発表した。建設業向けの大規模言語モデル(LLM)を導入するとともに、自社の施工技術や研究開発、営業などに関する独自データを取り込むことで、専門的な内容についても正確な回答が得られる。
生成AIの開発に当たっては、燈(あかり)が提供する建設業に特化した大規模言語モデル(LLM)の「AKARI Construction LLM」を導入した。施工計画書や技術文書などの安藤ハザマ独自のデータを格納したデータベースと、AKARI Construction LLMを接続することで、入力した質問に対して関係性の高い情報を抽出し、回答を生成する。
外部データベースとの連携や、画像/音声の生成AIも検討
安藤ハザマでは文書や画像を対象に生成AIの活用を検討してきた。2023年9月からは文章生成AIの全社での利用を開始し、書類のたたき台作成やアイデア出し、資料の要約などに活用している。しかしWeb上から収集した汎用的な知識で回答を生成するため、建設分野の専門的な知識や自社のノウハウに関する質問に対しては回答の精度が低いという課題があった。
今回開発した生成AIを活用することで、建設分野の専門的な内容について正確な情報を得られるようになった。また、回答の生成に使用した文書を明示する機能を備えているため、さらなる業務効率化や的確な業務判断につながるとしている。
安藤ハザマは今後、手書き文書のデータ化を進めてより多くの情報を学習させる。さらに、特許や論文、法律などの公開されている外部データベースとの連携を検討する他、設計などのクリエイティブ領域での実績を学習した画像、動画、音声を生成する独自の生成AIの開発も進めるとした。
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