文章生成AI(建設特化型LLM)を西松建設が導入 技術文書の作成機能も開発着手:AI
西松建設は、自然言語処理技術を用いた高度な文章生成能力を持つ、文章生成AI(LLM)を業務で利用開始した。既に、社内文書を参照した文章生成や専門性の高い文書の作成支援の機能開発にも取り組んでいる。
西松建設は2023年12月1日、業務効率化と品質向上を目的に、文章生成AI(LLM)を導入したと公表した。
生成AIは、自然言語処理技術を用いた高度な文章生成能力を持ち、短時間で高品質な文章を生成する。今回、セキュアな文章生成AI利用環境を整備するとともに、社内文書を参照した文章生成や技術文書など専門性の高い文書の作成支援の開発にも着手している。
燈の建設特化型LLM(大規模言語モデル)の導入
今回採用したのは、通常のLLMでは建設業界の専門知識に関する文書生成品質が低下するため、燈(アカリ)が提供する「AKARI Construction LLM」。建設業務での文書生成AI活用を飛躍的に促進し、業務の効率化や文書の品質向上につなげる。
西松建設は、文書管理に、クラウドストレージサービス「Box」を利用しており、BoxとAKARI Construction LLMを連携し、社内文書の参照機能付きLLMとすることで、社内の文書を参照した上での文章生成が可能となる。社内問合せの効率化など、さまざまな社内ナレッジの活用が見込める。
文章生成AIのさらなる活用のために、より専門性の高い業務での文書作成支援に特化した専用機能の開発も進めている。具体的な取り組みでは、建設技術のノウハウを蓄積して技術文書作成や施工計画に活用するため、技術文書作成の専用LLMの構築を目指す。これにより、当社で培った技術と経験を最大限活用した技術情報の支援、計画のアイデア出しを行い、より効率的かつ正確な施工計画の策定に貢献することを目指す。
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