パナソニック 空質空調社の次の事業戦略 ガス/電気一体型空調やクラウド運用、生産拠点の国内回帰へ:BAS(3/3 ページ)
パナソニック 空質空調社は、業務用の空調システムとして電気空調/ガス空調を展開し、オフィスや店舗などの小型施設用から、工場やビルといった大型施設まで、それぞれに対応する幅広い製品をラインアップしている。近年では、空質機器や空質空調連携システムなど、複数の機能を一体化した業務用システムで、多様化する市場ニーズにも応えている。
空調制御システムに特化した「クラウドサービス」で運用、保守、修理をカバー
提案から、設計、販売、施工、サービス、メンテナンスまでを循環してカバーするプラットフォーマーを目指す上で、重要な役割となるのが、空調制御システムの「クラウドサービス」だ。
パナソニックでは、2022年12月からナチュラルチラー製品の保守管理と修理対応に関して、HVACクラウドによる運転管理や遠隔監視を可能にしている。2023年以降はさらに前進させ、運転効率のチューニングでも、クラウドを利用する。また、ナチュラルチラー以外の製品でも、クラウド上での管理や監視などを見据えている。
空質空調社の戦略で、大泉拠点は重要な役割を果たす。大泉拠点には、工場にショールーム「Air Quality Labo」を併設。ショールームは、顧客と製造部門が直接触れる場として機能し、CX(ユーザー起点での価値創造)の強化に貢献する。
また、HVACのトレーニングセンターも備え、工事業者や設備店向けに、各種研修を行う。トレーニングセンターを核に“出前研修”や顧客ニーズに合わせた“スポット研修”にも対応する。
説明会では、生産の効率化に向けた生産体制の変更も発表された。これまで中国の大連やマレーシアで行っていたVRF(ビル用マルチエアコン)の生産を日本の大泉拠点に移し、“地産地消”の体制を整える。
生産拠点の国内回帰により、安定供給やリードタイムの短縮、物流費の削減によるコスト削減など、さまざまなメリットが生まれる。池田氏は、「日本での物流課題や為替の問題などはあるが、地産地消は進めていく。何よりも、顧客に良いものを早く提供するということをこの地産地消の生産環境を通じながら力強く続けていきたい」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ZEH:2025年度のエコキュート生産30万台達成 パナソニック 空質空調社の3つの戦略
カーボンニュートラル実現など、地球環境への関心の高まりを追い風に、堅調な市場成長を続ける再生可能エネルギーを活用した給湯機「エコキュート」。2025年度には30万台の生産体制も視野に入れるパナソニック 空質空調社のエコキュート事業の事業戦略とは。 - BAS:パナソニック 空質空調社、大阪・梅田に空質空調設備のAI/クラウド開発に向けた新拠点を開設
パナソニック 空質空調社は、空調機器へのIoTやクラウド、AIの活用強化に向けて大阪・梅田に新拠点をオープンした。AI/クラウドなどの知見を持つ人材を集約し、新技術を活用した空調機器導入後のサービスメニューの拡充に力を入れる。 - 空気質:山形県朝日町「空気神社」とのコラボで、美しい空気を次世代に引き続くパナソニック 空質空調社
パナソニック 空質空調社が、日本一きれいな空気を誇る山形県朝日町「空気神社」とのともに、空気の大切さを次世代に伝える取り組みに着手するプロジェクトを開始すると発表した。「空気から、未来を変える。」をブランドスローガンに掲げるパナソニックが見据える未来の空気質の在り方を取材した。 - コージェネレーション:パナソニックとヤンマーがコージェネ事業で協業、両者の強みが融合したワンストップの廃熱利用システム
パナソニック 空質空調社とヤンマーエネルギーシステムは、分散型エネルギー事業で協業することを決めた。両社が共同で取り組む分散型エネルギーシステムとは、電気を使用する場所の近くで発電することで送電ロスや廃熱の無駄を抑えて電力を供給する仕組み。エネルギー分野で、世界がかつてない規模の変革期に直面する今、注目を集める技術とされている。 - IAQ「室内空気質」:ユーザーと開発者が一体で“空気質”の検証を行う、パナソニック初の実験型施設「AIR HUB TOKYO」
パナソニック 空質空調社は2022年6月1日、東京・日本橋に、非住宅空間における空気質の課題解決に特化した実験型施設「AIR HUB TOKYO(エアハブトーキョー)」を開設した。先立つこと同年5月25日には、同施設のプレス向け見学会を開催。空調、換気、除菌機能などを一体化した「業務用空質空調連携システム」の最新設備はもちろん、独自技術によって快適性と静音性を兼ね備えた空間づくりなど、顧客ニーズに寄り添う多彩なソリューションを紹介した。 - パナソニック エコシステムズ、中国・順徳でIAQ機器新工場
パナソニック エコシステムズが、中国の広東省佛山市順徳区に熱交換気システム、空気清浄機などIAQ機器の新工場「順徳第一分工場」を建設。グローバル生産拠点として、熱交換気システムを2021年度12万台、2023年度には20万台の生産を目指す。