2025年度のエコキュート生産30万台達成 パナソニック 空質空調社の3つの戦略:ZEH(1/3 ページ)
カーボンニュートラル実現など、地球環境への関心の高まりを追い風に、堅調な市場成長を続ける再生可能エネルギーを活用した給湯機「エコキュート」。2025年度には30万台の生産体制も視野に入れるパナソニック 空質空調社のエコキュート事業の事業戦略とは。
パナソニック 空質空調社は2023年8月25日、電力を利用してお湯を沸かす給湯器「エコキュート」の事業説明会を開催した。会場となったのは、パナソニック草津拠点「草津工場」内に同年6月26日にオープンしたショールーム「e-STATION KUSATSU」。
説明会では、パナソニック 空質空調社 日本・広域事業担当 水ソリューションズビジネスユニット BU長 福永敏克氏、マーケティング担当 マーケティング本部 日本マーケティングセンター 電化マーケティング統括部 統括部長 松尾圭氏が登壇し、エコキュート事業の現在地と今後の戦略、更にエコキュートの価値訴求強化についての取り組みを紹介した。
2022年度に70万台を突破!拡大し続けるエコキュート需要
市場全体でのエコキュート需要は堅調に推移している。2011年の東日本大震災を機にいったん落ち込みを見せたものの、2016年度を境に再び増加傾向に転じ、以後は右肩上がりで成長している。2021年度には、出荷台数60.8万台となり、2010年度に記録したピーク需要56.6万台を更新すると、2022年度は過去最高70万台まで拡大。累計出荷台数で100万台を更新するまでの期間も徐々に短くなっており、成長スピードも着実に加速している。
成長の背景には、オール電化初期ユーザーの買い替え需要がある。2000年半ばのエコキュートの本格普及開始から15年以上が経過し、オール電化初期ユーザーを中心に、機器更新の需要が高まっている。
さらに、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅の普及も、エコキュート需要を高める要因となっている。カーボンニュートラル実現への世界的な関心の高まりを受け、住宅の省エネ化が加速、新築注文住宅のZEH化率が年々増加傾向にある。ZEH住宅へのエコキュート採用率は2021年度で約7割に達し、今後はZEH住宅の普及促進に伴い、エコキュートの採用量がさらに増えると予想される。
福永氏は、エコキュート事業の今後の展望について、「多少の浮き沈みがあるとしても、大きな時間軸でみれば、2025年度に80万台、2030年度に90万台、もしくはそれ以上に伸長するだろう」と予測する。
また、欧州でのAir to Water(温水暖房機)事業が、各国の普及促進に向けた支援事業をきっかけに大きく需要の伸ばした例を示しながら、「日本でも、エコキュートなどの省エネ給湯器の導入に対して5万円の補助金が支給される経済産業省資源エネルギー庁の給湯省エネ事業が始まっている。この点からも、日本のエコキュート事業は好位置にある」との手応えを語った。
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