西松建設が山岳トンネル工事のコンクリ残量を「direct」とLiDARで見える化:スマートコンストラクション
西松建設は、山岳トンネル工事の吹付けコンクリートで、コンクリ材料の残量(骨材残量)を、L is Bのコミュニケーションツール「direct」とLiDARセンサーで、いつでもどこからでも確認できる「BP-Tracker」を開発した。
西松建設は2023年9月06日、山岳トンネル工事で使用されるバッチャープラントの骨材残量の見える化技術「BP-Tracker」を開発したと発表した。
BP-Trackerは、残量データをリアルタイムにクラウドで共有し、L is Bが提供する現場のコミュニケーションツール「direct(ダイレクト)」で、いつでもどこからでも確認が可能になるため、バッチャープラントの材料管理作業の省人化や効率化が図れる。
骨材残量の計測は、LiDARで確実な材料管理が可能に
山岳トンネル工事で、吹付コンクリートは重要な支持部材で、使用するコンクリートは現場に設置したバッチャープラントで昼夜を問わず製造されている。コンクリートの材料の細骨材や粗骨材、セメント、フライアッシュなどは、過不足が無いように、現場技術者が日々の作業中に現地で残量を確認し、注文や補充をしている。
しかし、技術者の確認不足や経験不足からくる進行判断のミスにより、注文手続きが遅れて補充不足が発生することがある。こうした状況が夜勤時に発生すると、吹付コンクリートの製造が滞り、トンネル掘削作業の一時中断や、切羽崩落などに対する応急処置が難しくなるなどの問題が生じる。
仮に注文を過剰にした場合は、骨材ビンが一杯になり搬入できずに持ち帰りとなってしまう。そのため、トンネル工事全体の進捗状況を把握し、材料の残量を適切に管理するために、現場技術者は絶えずトンネルサイクルの確認や現地でのコンクリート材料の確認や材料注文などに、時間と労力を取られてしまう課題があった。
バッチャープラントの骨材残量を見える化するBP-Trackerは、コンクリートの材料となる細骨材や粗骨材がストックされている骨材ビンの残量をリアルタイムに計測。管理画面に表示するとともに、専用クラウドに残量データをアップロードする。専用クラウドとビジネスチャットアプリ「direct」とのAPI連携で、現場技術者、作業員、骨材搬入業者などは、いつでも、どこからでも骨材残量を確認することが可能となる。
骨材残量の計測には、LiDARを使用し、レーザー光を照射して取得する骨材ビンの残量の形状から体積を算出している。計測は24時間365日リアルタイムに稼働しており、誤差3%以内で残量を数値化し、確実な材料管理が可能となる。
また、専用クラウドとチャットアプリとのAPI連携では、特定のコマンドを入力するとチャットアプリのdirect上に配置したチャットボットが現在の骨材残量のデータを専用クラウドから呼び出して、回答。任意の時間にチャットボットが通知する設定もでき、作業前や作業終了時にバッチャープラントの骨材残量を知らせることで、現地に行って直接確認しなくても骨材の注文過多や注文忘れを未然に防げる。
西松建設は、BP-Trackerの現場での試験運用を通じて、継続的に改良を行っていく。今後は、コンクリート製造時に材料供給の自動化や骨材注文の自動化も視野に開発を進め、バッチャープラントの完全自動化を目指す。
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