戸田建設の環境配慮型コンクリート「スラグリート70」が「エコリーフ宣言」の認証取得:新建材
戸田建設と西松建設が開発した高炉スラグ微粉末を用いた環境配慮型コンクリート「スラグリート70」が、製品のライフサイクル全体で環境情報を定量的に開示する認証制度「エコリーフ宣言」の認証を取得した。
戸田建設は、西松建設と共同開発した高炉スラグ微粉末を用いた環境配慮型コンクリート「スラグリート70」(調合管理強度の呼び強度40)が、サステナブル経営推進機構(SuMPO)が認証するSuMPO環境ラベルプログラムの「エコリーフ宣言」のタイプIII環境宣言(登録番号:JR-BY-23001E)を2023年4月に取得したと公表した。生コンクリートによる取得は国内初だという。
建設物の低炭素化を推進する環境配慮型のコンクリート
スラグリートは、製鉄所の高炉から発生する副産物となる高炉スラグの微粉末を、セメントの代替として用い、セメント製造での温室効果ガスの排出量を大幅に削減したコンクリート。脱炭素社会の実現に貢献し、副産物を有効利用することでセメント原料となる石灰石資源の投入量削減にもつながり、循環型社会の実現にも寄与する。
エコリーフ認証は、SuMPOが運営するプログラムで、製品の製造から、物流、使用、廃棄、リサイクルまでのライフサイクルで定量的環境情報をLCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて開示するEPD(Environmental Product Declaration)認証制度。その情報に基づき、提供者と利用者間での環境負荷情報についての相互理解、コミュニケーションを促進することを目的としている。
第三者による審査・検証を経て、信頼性や透明性が担保されたデータが開示されることにより、利用者は製品の環境負荷を定量的かつ客観的に評価することが可能となる。エコリーフ認証建材の採用は、米グリーンビルディング協会が運用する建築物の「LEED認証」の加点対象にもなるため、不動産価値を高める付加価値も生む。
戸田建設では今後も、エコリーフ認証制度を活用し、カーボンフットプリントなどの環境負荷情報の積極開示を進めるとともに、製造から廃棄までの温室効果ガス量を対象とするScope3(スコープ3)の温室効果ガスの排出量削減を進める。
これまで、スラグリート70は、主に地下構造物に適用してきたが、上部構造物にも採用できる高炉セメントA種相当コンクリート「スラグリートBA」、コンクリート製造時の高炉スラグ微粉末の使用量を抑えた高炉セメントC種相当コンクリート「スラグリートBC」も開発した。
ラグリートBAは、普通ポルトランドセメント50%、高炉セメントB種50%の混合比率にて製造した高炉セメントA種相当のコンクリート。スラグリートBCは、高炉セメントB種60%、高炉スラグ微粉末40%の混合比率にて製造した高炉セメントC種相当のコンクリート。
スラグリートのラインアップを充実させることで、構造物全体に環境配慮型のコンクリートを適用することが可能となるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Autodeskバトラー氏×伊藤久晴氏×BUILT:【BIM特別対談 Vol.1】BIM先進国の英国に学ぶ「ISO 19650」の真意と「建築安全法」の背景
英国は、日本での2023年度からの公共事業のBIM原則適用よりも先行して、2016年に全ての公共工事の調達でBIM Level 2(Full Collaboration:意匠/構造/設備でBIM共有)を義務化した。2018年には英国規格協会のBSIが「ISO 19650」を策定して以降、ここ数年は国内でも大和ハウス工業を皮切りに、ISOの認証取得に挑む企業が増えつつある。BIM本格化を前にして岐路に立つ日本の建設業界にとって、BIM先進国の英国に学ぶことは多いはずだ。 - 調査レポート:野原HDが建設業従事者1000人に業界イメージを調査「深刻な課題は人手不足、BIM/CIMの現場導入はこれから」
野原ホールディングスは、建設業界従事者1000人を対象に建設業界イメージ調査を実施した。その結果、最も深刻な課題は「人材不足」で56.5%となり、その主要因として働き方や給与(待遇)が挙がった。 - プロジェクト:第一生命と清水建設の1000m3の木材を使用する木造ハイブリッド構造賃貸オフィスビルが、サステナブル建築物先導事業に採択
第一生命保険は、清水建設の技術協力のもとで計画している木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビルが、国土交通省の木造先導型「サステナブル建築物等先導事業」に、保険業界では初めて採択された。ビルの想定規模は、地上12階地下2階建てで、高さは約56メートル、延べ床面積は約1万6000平方メートルとなる見通し。 - 建設産業構造の大転換と現場BIM〜脇役たちからの挑戦状〜(3):【第3回】現場BIMの活用例 Vol.1 「設備配管工事で総合図をBIM化する意義とは何か?」
従来の設備配管工事の検証は、総合図をもとにした個人の目視や電卓、経験則により行われるのが常だった。これが、BIM化されると何ができるようになり、どう変わるのか?現場はラクになるのか?筆者の経験をもとに、設備配管の干渉チェックを例に考えてみる。 - 新建材:戸田建設の古紙を原材料とした天井材に使える新建材が不燃認定取得
戸田建設と日本モウルド工業は、建物の内装仕上げに使用できる古紙を原材料とした不燃認定取得の天井材を開発した。