西松建設が2027年までに一気通貫で活用を目指す、生産設計BIMを構築:BIM
西松建設は、設計と施工をつなぐ施工図検討で、熟練者のノウハウや暗黙知を代替し、BIMから自動出力するシステムを構築した。
西松建設は2023年8月1日、BIMから高精度の施工図を自動出力する「西松生産設計BIMシステム」を構築したと発表した。既に、物流施設5件のプロジェクトに適用し、その効果が実証されている。
2024年度から全ての物流施設の案件に「西松生産設計BIMシステム」を適用
西松生産設計BIMシステムは、熟練技術者の“暗黙知”を形式知化し、BIMシステムに落とし込むことで、設計と施工の連動性を強化し、精度の高い施工図作成や効率化を可能にする。着工前の早期段階で、顧客要求の実現性や施工の成立性を見極め、着工後の調整や手戻りを削減する効果も期待される。
西松建設は、2024年度から全ての物流施設プロジェクトにシステムを適用するだけでなく、集合住宅プロジェクトなど他建物用途へも適用範囲を拡大する。また、2027年までに設計BIMと連動した生産設計BIMを、生産設計・工事計画・施工領域まで一気通貫で活用しながら横断的な変革を推進して、2030年までに施工図を不要とする生産設計BIMを構築し、『より良い建築物を、より早く、より安く、提供し、顧客価値と企業価値を高める』ことを目指す。
設計と施工をつなぐ施工図は、建築物全体の顧客要求・品質・コスト・工期面での実現性担保で重要な図面で、早期での施工検討の精度向上は生産性に直結する。しかし、設計内での整合や施工図検討時の施工検討項目との整合は複雑で手戻りが発生しやすく、熟練技術者同士の暗黙知やノウハウによる擦り合わせにならざるを得ない。そのうえ、設計図から施工図への非効率な転記や施工図作成時の記入漏れ、複数図面に対する重複した修正作業なども非効率化を招いている。
その対策として、一般的な設計段階の設計BIMから出力した2D図面を施工図として活用しようとしても、詳細な施工要件を付与または修正しながら仕上げていかねばらなず、変更の都度、BIMと施工図を同期更新することは、かえって非効率を増長させることにつながる。結果、建設業界では通常、着工後に、施工検討項目を精査/整合し、施工図を作成するため、現場の手戻りや調整の増加など、生産性を低下させる原因となっていた。
西松生産設計BIMシステムは、熟練技術者の暗黙的ノウハウが判定式やロジックへと形式知化されたデータとして実装された設計と施工の連動性を強化したシステム。施工検討項目の90%を、設計段階へフロントローディングして決定する業務プロセスに沿い、施工図レベルの情報を集約したBIMを活用することで、建築設計と同時に施工成立性を考慮した精度の高いBIMを早期に構築できる。
また、BIM上での設計〜施工検討の情報連携や半自動図面化ツールにより、加筆修正を最少にした施工図の出図が可能になる。さらに熟練技術者の暗黙知やノウハウを形式知化されたチェックリストやBIMのアドインツールとして用いることで、経験値に依らない業務レベルの平準化や若手の技術力向上につながる。
今後は、西松生産設計BIMシステムを第一弾として、工事計画の変革や施工領域の変革など、設計〜施工全体へ戦略的な変革活動を進めていく。
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