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東京国税局 国税実査官が解説!建設業も人ごとではない“インボイス制度”第5回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)

2023年10月1日に施行される「インボイス制度」は、工事発注側の「仕入税額控除」の処理方法が変わるため、建設業界にも影響を与える。納付する消費税額は、課税売上に関わる消費税額(売上税額)から、課税仕入れなどに関連する消費税額(仕入税額)を引くことで求められる。仕入税額控除の要件には、帳簿と請求書などがあるが、新制度によって請求書に関してはインボイス(適格請求書)の保存が必要となる。

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インボイスの記載事項で押さえておくべきポイント

 インボイスの記載事項は、請求書であれば、これまでの記載内容に、登録番号、適用税率、消費税率を追記する。また、1つの書類で全ての記載事項を満たす必要はなく、請求書と納品書など、相互の関係が明確な複数の書類によって、1つのインボイスとすることも可能だ。藤田氏は、こうした記載にあたっての留意点や保存期間(7年間)、インボイス発行事業者の義務など、これからインボイスに対応するときのポイントを紹介した。

インボイス発行事業者の義務
インボイス発行事業者の義務 出典:会場配布資料

小規模事業者に対する「納税額の2割特例」

 藤田氏は、令和5(2023)年度の税制改正のうち、インボイスに関連する措置にも触れた。改正内容としては4点だが、特に注目すべきは、小規模事業者に対する経過措置としての税額の「2割特例」と、一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置である「少額特例」の2点だろう。

 2割特例は、免税業者がインボイスに対応する業者となった場合に発生する納税額を売上税額の2割に軽減する。期間限定だが、簡易課税に比べてもかなりの税負担を軽くできる。インボイスの保存が不要になり、売上と収入の額を把握するだけで税処理が行えるなど、事務の簡易化にも役立つ。

 2割特例の適用には、事前の届け出は不要だ。藤田氏から、申告書に特例を適用するか否かの確認箇所があるので、申告時には丸印をつければよいとの説明があった。

納税額を売上税額の2割に軽減する「2割特例」。事務負担の軽減にも役立つ
納税額を売上税額の2割に軽減する「2割特例」。事務負担の軽減にも役立つ 出典:会場配布資料

 少額特例は、2年前の課税売上高が1億円以下の事業者を対象に、1万円未満の課税仕入れは帳簿への記載のみで仕入れ税の控除を可能とする措置だ。適用期間は、インボイス制度の開始から令和11(2029)年9月30日までの6年間で、インボイスの保存も要らないため、事務作業の手間を減らせる。

 この他、インボイス関連の税制改正では、少額な値引き(1万円未満)に関する「少額な返還インボイスの交付義務免除」と登録申請手続きの柔軟化にも触れた。講演の最後には、聴講者のインボイスに関する質問に藤田氏が応える時間も設けられた。

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