「建設業の2024年問題」で派遣需要が急増、コプロ・エンジニアードが2100人超を採用 未経験から建設DX人財を育成:2024年問題
建設やプラントの分野で人材派遣サービスを提供するコプロ・エンジニアードは、未経験者の採用拡大と建設DX人材の育成強化で、2024年問題に伴い派遣需要の急増が見込まれる建設業のニーズに応えていく方針を打ち出した。
建設、プラント、機電、生産技術、SESのエンジニア人財派遣を手掛けるコプロ・ホールディングスの子会社で、建設やプラントの分野を事業領域とするコプロ・エンジニアードは20238月28日、建設業では「2024年問題」が間近に迫り、人財派遣の需要が増加しているとして、2023年度はエンジニアの採用数を前年比で約1.5倍となる2120人(前年度1472人)に増やし、期末の在籍数を3889人(前年度末2777人)とする計画を立てた。
建設向け派遣エンジニアの教育やフォローアップに注力
コプロ・エンジニアードが運営する「監督のタネ」と呼称する技術者研修施設では、専任講師が建設業界の基礎知識、施工管理者やCADオペレーターの仕事内容、安全管理、業界用語、製図知識など、現場ですぐに役立つ基礎的な内容を教育している。
今回の大幅な増員に伴い、採用数に占める未経験者の割合が2022年度は60%以上だったが、2023年度も同等以上の割合になる。そのため、オンラインで全国から受講未経験者の受け入れ体制を強化するため、未経験者が入社後に受ける5日間の研修を従来の月2回開講から、2023年5月から月4回へと拡大。また、就業後にきめ細かいフォローを行うため、在籍期間や経験に応じて派遣先現場への訪問なども拡充したという。
教育内容の強化では、2022年11月に業務提携したスパイダープラスの施工管理アプリ「SPIDERPLUS」に特化した研修を展開しており、これまでに1000人以上が受講。SPIDERPLUSは大手ゼネコンも導入しているため、使いこなせる人材を育成することで、エンジニアの付加価値が高まるとしている。
また、2023年2月には、ドローンやロボットによるプラント、工場などの点検サービスを提供るブルーイノベーションと業務提携を結んだ。今後は、ドローンやロボットに関する教育も視野に入れる。
派遣先への配属後の派遣社員のアフターフォローでは、営業担当者が定期的に配属現場へ訪問し、就業状況、職場環境、健康やメンタルヘルス、スキルアップやキャリアのことも含めて支援する。配属から1年未満の派遣エンジニアに対しては、月1回以上は配属現場へ訪問し、密に連絡を取り、派遣エンジニアの定着率向上と顧客企業の満足度向上をともに追求している。
また、コプロ・エンジニアードは、2023年3月期〜2027年3月期の中期経営計画「コプロ・グループBuild the Future 2027」で、「エンジニア応援プラットフォーム」の構築を掲げている。プラットフォームにより、ジニアがキャリアアップするためのキャリアパスを示し、個人のキャリアアップを見据えた研修受講や仕事のマッチングが可能になる。
また、建設/プラント、機械設計、システムエンジニアと、分野を超えてグループ内のキャリアチェンジの機会が広がる。顧客企業にとっても、人財の品質「経験年数、保有資格、受講済みの研修、保有スキル」が明らかになるため、要望に沿った人財を確保しやすくなるという。
なお、コプロ・エンジニアードは2023年10月1日付で、「コプロコンストラクション」に商号変更する予定。
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