河川管理の目視点検ゼロを目指すAIと3D計測の“河川DX” 横浜市とパスコが実証スタート:スマートメンテナンス
横浜市とパスコは、AIと3次元計測技術の活用で、市職員が目視で行っている河川の点検業務に関わる負担を軽減を目指した河川DXの実証実験を開始した。
パスコと横浜市は、河川の堆積土砂を解消する実証実験を開始したと2023年4月27日に公表した。実証実験では、航空写真をAI画像判読により、堆積土砂の位置をあらかじめ把握し、該当する場所の3次元計測データによる土砂堆積状況の把握と、情報の蓄積による堆積傾向の把握について検証する。
河川管理の目視点検ゼロを目指すAIと3D計測の河川DX
大雨の際には、雨水と土砂が同時に河川へ流れ込み、河道に土砂が堆積することで流れが阻害され、氾濫(はんらん)の原因となる。防止のため、横浜市では職員による目視点検により、土砂堆積状況を把握しているが、対象となる河川の延長は約86キロにものぼり、点検作業には多大な時間と労力がかかるだけでなく、職員のスキルや経験によって点検結果に差が生じる。
そのため、横浜市では、DX推進の取り組みとして、行政業務や行政サービスの課題/改善に関する要望(ニーズ)と、解決する民間企業などが有するデジタル技術(シーズ)提案をマッチングするオープンなプラットフォーム「YOKOHAMA Hack!(ヨコハマハック)」で民間から提案を募集したところ、パスコの提案が採択された。
実証実験は2023年6月30日までの期間行われ、対象となる河川は平戸永谷川、柏尾川、日野川、和泉川の4河川で、延長は約5.24キロ。実証実証では、「土砂堆積箇所の抽出」「土砂堆積量の算出」「土砂堆積傾向の把握」の3項目で高度化や効率化を目的としている。
土砂堆積箇所の抽出では、横浜市が撮影した直近の航空写真をもとに、AIで画像を判読し、土砂堆積箇所の発生や拡大の箇所を見える化する。
次に土砂堆積量の算出では、AI画像判読で抽出された土砂堆積箇所を、従来の標定点測量よりも効率的なパスコの現地調査ツール「SmartSOKURYO POLE(スマートソクリョウポール)」を用いて地表面標高を測量し、堆積厚(「測量した地表面標高」−「管理掘削高(計画河床高/計画高水敷高など)」)を確認する。SmartSOKURYO POLEは、高性能なGNSSアンテナからリアルタイムで座標を取得し、現地で記録するアプリケーションを備えたパスコ製の現地調査ツール。
堆積厚が大きく川の流れを大きく阻害しているエリアは、現地の写真撮影、またはレーザースキャナーで3次元データを取得し、3次元モデルを作成して、堆積量を算出する。
土砂堆積傾向の把握では、航空写真の表示と対策箇所を重ねて表示できる3次元表示ソフトにデータを移行することで、データの蓄積や確認が可能となり、対策箇所の合意形成の効率化を図る。
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